食の安全科学技術演習開講および実施報告

神戸大学大学院農学研究科

食の安全・安心科学センター

Research Center for Food Safety and Security,
Graduate School of Agricultural Science,
Kobe University

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食の安全科学技術演習開講および実施報告

平成24年8月27日(月)~9月7日(金)
於:農林水産消費安全技術センター(FAMIC)神戸センター

本年度も本学農学部の3回生以上を対象とした「食の安全科学技術演習」が8月27日(月)~9月7日(金)の2週間(月~金の10日間)、神戸市ポートアイランドに所在する農林水産消費安全技術センター(FAMIC神戸センター)で行われ、応用植物学コース1名、応用生命化学コース3名、環境生物学コース1名、大学院から資源生命学専攻2名の学生が履修しました。

第1日目のオリエンテーションの後、次の2コースに分かれて9日間の演習を行いました。各コースの内容は以下の通りです。
○農場から食卓までの分析コース
残留農薬分析、クロマト分析による名称及び原材料表示の確認分析(そば加工品、アイスクリーム類)、肥料中の重金属分析、飼料中のカビ毒の分析、しょうゆ及び醸造酢中の成分分析
○食品表示真正性分析コース
サバ加工品のDNA分析、果実飲料の安定同位体比分析、湯通し塩蔵わかめの無機元素分析、残留農薬分析、クロマト分析による名称及び原材料表示の確認分析(そば加工品、アイスクリーム類
第10日目に演習のまとめとアンケート等を行いました。

本演習を終えて、履修した学生さんの後輩へのメッセージは以下の通りです。

・3回生の段階では、ただ授業を受けていたばかりで、実際に手を動かして実験するという経験は非常に少ないことと思います。本演習では、2週間みっちり手を動かして実験をさせてもらえるので、とてもいい経験になると思います。授業などで、パワーポイントを使って実験機器の原理を説明されても全然頭に入ってこないことが多いのですが、機械の中身を見せてもらいながら説明を聞くことができるので、頭に入ってきやすいと思います。何より、自分の実験で妥当な結果が出て、そこからいろいろなことがわかり、様々な考察ができるということを知れば、研究の楽しさを知ることができます。ぜひ参加してみて下さい。あと、LCMS、GCMSという難しい分析機器をよく使うので、ネットで調べて少し読んでおけば、実習で理解がしやすいと思います。

・この食の安全科学技術演習は、2週間を通してFAMICの現場で働いていらっしゃる成分分析のプロの方々のご指導のもと、食品成分などの分析を行えます。私は農場から食卓までのコースということで、肥料中の重金属の分析や食品中のカビ毒の分析から始まり、食品中の残留農薬の分析や醤油や酢の成分分析など、農場から食卓までを通した食品の安全に関係する成分の分析を行いました。演習では、2週間を通して実際に現場の分析で使用されているプロトコールに沿って自分のサンプルを調整し、説明を受け、理解しながら分析をおこないます。実験をしながら分析機関で求められる、正確な分析結果を出すための実験手技なども教えてもらえます。また、FAMICは食の安心安全を守る最前線ですので、その現場で、研修させていただけることは農学部に在籍している以上、とても貴重な経験になると思います。

・この食の安全科学技術演習は単なる講義だけではなく、実習を通じて分析の方法を知り、またFAMICという食の安全に関する国の機関を知ることが出来るインターンシップのような演習でした。実際の分析機関において使われている機器についてご説明いただいたり、実際に操作させてもらったり、また分析の合間には講師の方々に公務員という働き方について教えていただいたりしました。2週間の間、数多くの方が関わって実習を進めていただいていたので、より多くの方のご意見を伺うことができ、様々な部署の仕事を拝見することができました。このような貴重な機会はほかにはないのではないでしょうか。2週間分のポートライナーの交通費が少し痛いところですが、この集中講義は単なる単位取得以上の学びがあると思います。非常にお勧めしたいです。食品表示や分析に興味がある学生はもちろん、民間と公務員の技術職どちらにも興味がある学生にも将来の就職活動のヒントとなることでしょう。

・この演習は,私の所属する応用植物学コースではあまり周知されていない演習だと思います。また,内容も応用植物学コースでの講義・実験とはやや離れたものであるため興味を持つ学生もそれほど多くはないかも知れません。しかし,コースに関係なく,この演習は貴重な体験をし,私たちの生活の根幹をなす「食」について改めて考えさせてくれるものだと思います。応用植物学コースの学生は他のコースより多く農場実習を経験しているため食について考える機会は多いかも知れませんが,本演習は農場とは違った視点から,食の安全を守るということの意義やその具体的なプロセスを学ぶことが出来ます。食に向き合う農学部の学生として,是非参加をお薦めします。

・実際の分析現場を直接知り、その雰囲気を体感できるとても貴重な機会です。食の安全を保証する分析や食品表示の真正性を確認する分析などを体験しながら学ぶことができ、食やその安全に強い関心を抱いている人には特におもしろく感じられると思います。また、こういった分析機関や食に関わる研究職への就職を視野に入れている人には、将来を考える上で参考になることでしょう。演習期間中、実際に分析業務を行っているFAMICの方々とお話できる時間が多くあります。日頃の食に関わる疑問や分析機関への就職に関することなど自由に質問でき、それに対しとても丁寧に答えてくださるので、分析技術以外にも様々なことを知ることができます。非常に有意義な時間を過ごせることは間違いないので、是非履修することをお勧めします。

・普段食の安全について疑問に思っていることをある程度まとめておくと、なんでも質問してくださいね、と言われることが多いのでそこでお話できるとおもいます。また、公務員試験を突破してこられた方たちなので、公務員系を志望していたり興味がある人は話を聞けるチャンスなので有効活用できるいい機会だと思います。

・この集中講義は「集中講義」、と言うよりは学校主催のインターンシップだと言ったほうが正しいと感じました。公的機関の中で、食の安全を守るという自分たち農学部に深く関わりのある機関に研修に行くというのはめったに無いと思います。私達が食べるものを「作る」企業にインターン シップに行くのもいいですが、それを「守る」FAMICに行くこともとても有意義だと思います。

 わずか10日間の短期ではありましたが、履修生にとって大変充実した演習となりました。来年度以降も引き続き本演習は継続する予定です。
 本演習の企画・実施にあたりご尽力いただいたFAMIC神戸センターの職員の皆様に心より感謝いたします。今後ともどうぞよろしく御願いいたします。