実際、そのような視点でこれらの生物現象を捉えた時、いくつかの非常に共通した現象が起こっていることに気付きます。その一つは例えば細胞内共生に伴って起こるゲノムサイズの大幅な減少、ゲノムリダクション、です。ブフネラは細胞内共生に伴って、ゲノムサイズがほぼ7分の1になっていると報告されています。ファイトプラズマでは4分の1、また一般的な葉緑体ではシアノバクテリアと比較すると1/20程度というゲノムサイズになっています。これらの例は、「ゲノムとゲノムが一つの細胞内で長期に渡って相互作用する時、細胞質に存在するゲノムのサイズが減少していく」というある種の傾向、あるいは何かの生物的なプログラムがあることを予感させます。重複して脱落した遺伝子はそのほとんどが細胞質に存在するゲノム側というのも興味深い現象です。
このように「インターゲノミクス」では、多様な生物現象をゲノムとゲノムの相互作用と捉え直すことにより、その共通性あるいは特異性を浮き彫りにすることを目的としています。この視点は、ゲノムレベル、遺伝子レベル、あるいは物質レベルなど、すべての理論・実験科学で適用可能であり、より広い生物現象の本質を提示する発見につながることを我々は期待しています。 |