太古の昔から続く「生命の連鎖」の中で、新たな生物種が生み出され、そしておそらく未来に至るその鎖の中でまた新たな種が産まれることだろう。この生命の歴史において、生命の遺伝情報の総体としての「ゲノム」は、それ自体に生命進化の証を刻み込むものとして、決して一個の独立した存在ではなく、他のゲノムへの依存あるいは他のゲノムとの協調や対立のバランスによって成立してきた。すなわち種間、個体間あるいは細胞間、オルガネラ間など様々な階層で、ゲノムとゲノムは、時にぶつかり、時に協調し合いながら、相互にその関係を深めてきた。我々は、このようなゲノムとゲノムの相互関係を統一的な視点から分子レベルで追求し、種や階層の壁を越えて議論を深化することが生命科学の今日的課題の一つとして成立し得ると考え、ここに「インターゲノミクス (Intergenomics)」を提唱する。

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