極限環境微生物が産生する酵素の回収その1


 多量のextremozymeを得るために極限環境下 で大規模なextremophileの培養をおこなうことはたいへん困難なことです。しかし 組換えDNA技術を使うことによって多量のextremozymeを得ることが出来ます。 DNAから成る遺伝子は細胞によって作られる酵素や他のタンパクの構造を明確 に暗号化しており、そのタンパクがほとんどすべての細胞活動を担っています。 標本となる遺伝子を自然界の極限環境微生物や小規模な 実験室での培地から得ることができさえすれば、これらの遺伝子を クローニングしその目的とするタンパクを生産することができます。 すなわち組換えDNA技術を使って遺伝子を培養しやすい細菌に挿入 すると、遺伝子を組換えられた細菌 はその遺伝子を使って 無限に、また純粋な酵素 を生産することができるのです。 このために 2つのアプローチが価値のあるextremozymeを分離するために開 発されました。 その1つは

@・・・極限環境微生物を極限環境下で培養(少量で良い)
A・・・培養した細菌の抽出物が目的とする活性を持っているかどうか確認
B・・・確認後、活性のもととなる酵素を分離
C・・・その酵素を暗号化している遺伝子を分離
D・・・培養しやすい細菌に遺伝子を挿入し、タンパクを生産させる (しないときもある)

 もう一方のアプローチは、

@・・・極限環境の水や土壌または他の物質内に含まれるすべての生物からDNAを分離
A・・・組換えDNA技術を用いてDNAの無作為な範囲を培養しやすい細菌に挿入
  (この段階ではこれらDNA断片部分の遺伝子の正体は分かっていない)
B・・・成長したコロニーを選別し、新しい酵素による活動の形跡を探す
C・・・もし形跡を見つけたならば、それは挿入された遺伝子が 原因であり、それが挿入先の細菌で働くことがわる

 このように、この手法では1つ目に述べた
@・・・極限環境下での培養増殖
BC・タンパク質、遺伝子の分離
D・・・遺伝子を挿入された細菌が目的のタンパクを生産するかどうかの確認・・・
といった困難な工程を回避することが出来ます。

本文は、「SCIENTIFIC AMERICAN」に掲載された「Extremophile」を参考に作成したものです


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