極限環境微生物が産生する酵素の回収その2


 細菌界は信じられないほどに 多様化していますが、科学者たちがその中から 与えら れた目的に対して最適な酵素を出す細菌を見つけ出すことはほとんどありません。 それゆえに、産業の酵素技術の先端を行く微生物学者たちはextremozymeを特別な要求に対処できるように 部分的に修正しはじめました。
 例えば、高温でかなり効果的にタンパクを分解するextremozymeが見つかった後、それをより広い酸や塩濃度範囲で作用するように酵素に修正をくわえるのです。 directed evolutionとして知られるアプローチを好む人は、選択した酵素を暗号化している遺伝子の無作為な変異体を作り、これらの遺伝子から何千という異なった型の酵素を発生させます。 それから変異体の中に望んだ特徴を持っているものがいるかどうかを見つけ出します。 この最新技術は Edisonianとも言われています。 それは、Thomas Edisonが電球に使用するフィラメントの材料を捜し求めていた時、彼は竹を裂いたものから絹糸まで、利用可能なすべてのものを手当たり次第フィラメントの材料に試み、最も適したものを選び出したことに由来しています。
 これまでに商業化されたほとんどのextremozymeは元の形に少しだけ修正を加えたものです。しかし、このEdisonian技術はextremozymeの応用を促進させるかもしれません。 この技術を使えば、一般的な細菌から生産されるありふれた 酵素が人工的なextremozymeに変換するかもしれないのです。


 極限環境微生物の発見は並外れた触媒能力を持つ酵素の開発にとって新しいチャンスを切り開いています。しかし、新しい酵素が商業的受託を得るためには製造者は大量なタンパクの生産を確実なものにし、 生産コストを下げることが必要となってきますが、 製造技術を完璧にする難しさや、すでに適度に働いているシステムを取り換える ことに気が進まない経営者側の対応が、商業界への新しいextremozymeの導入を遅らせています。 しかし、extremozymeの多くの優れた能力はやがて不可欠であることが理解されるでしょう。

本文は、「SCIENTIFIC AMERICAN」に掲載された「Extremophile」を参考に作成したものです


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