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東健先生を偲ぶ
(2017年度)




東健先生を偲ぶ


4月の始め、塾長がこの10年来公私にわたり大変懇意にさせていただいた神戸大学医学研究科消化器内科の東健先生が逝去されました。
2年前に塾長と一緒に還暦を祝って頂いた先生です (写真館33に掲載)。
一昨年ごろにご体調を崩されたとおうかがいしていましたが、その後の治療が功を奏し、昨年10月に塾長が西オーストラリア大でピロリ菌でノーベル賞を受賞したBarry Marshall先生と会談したこと(写真館37に掲載)をメールで伝えると「今マニラです。Barryですか? 懐かしいですね。よろしくお伝えください・・・」とお元気そうな返信がすぐに送られて来ました。
が、それから僅か半年、突然の訃報に唖然とするばかりでした。
お葬式は東先生の故郷、京都でしめやかに執り行われました。
斎場への行き帰り鴨川沿いの道は桜が満開でした。
満開の桜がこんなに寂しくみえたことはありませんでした。

東先生と塾長との親交は2006年、当時東先生が主宰されていた統合医療研究会に塾長お誘いを受けた時から始まりました。
それ以来、黒髭塾が取り組くむ腸内細菌とヒトの健康に係る研究や学会活動そして研究資金獲得等々にたくさんのお力添え頂きました。
特に近年では、神戸大学腸管モデル「(こちらで紹介)の確立にひとかたならぬご高察、ご高配を賜り、果たして消化器内科の若手研究者、星奈美子先生、井上潤先生との共同研究が実現し、現在着々と進められています。
こよなく研究を愛した故人を偲んで、昨年秋東先生から塾長に送られた最期のメールの抜粋を下記披露させて頂きます。


 「お世話になっております。先生の腸管フローラモデルは極めて有用なものと考えております。
私は、昨年末以来体調を崩してしまいました。  まだまだ、今後の展開について夢があり、その夢のために、企業や多くの外部の方々とお付き合いを必要としており、また、200名余りの同門の先生方の手前、あまり体調について表に出せない状況で皆さまにご迷惑をおかけしております。 これまで、後ろを振り返って立ち止まっていろいろ考えることを潔しとせず、目の前にあること、さらに将来のことの実現に向け最大限の努力をしてきたつもりです。 体調がすぐれない時、残念ながらちょっと弱気になっている時に、若手の研究成果を聞き、若手の成長を感じる時は一番幸せであり、これだから研究は苦しい時も多いけど楽しいものだよな〜と思う次第です。 若かりし頃、アメリカ留学中に1年半ぐらい試行錯誤して明日、遺伝子配列のフィルム(今は蛍光や自動化でこんな思いはないでしょうね)現像を一晩眠れずに朝5時前に研究室にいき、とうとう目的としたものを発見したときの思いが忘れられません。 この感動がこれまでの私を支えてくれたのでしょう。 福井医科大学から12年前に神戸に赴任し、先生たちと出会え、異分野融合でこれまで進められたことは私として大変誇りに思っております。 今後も引き続きよろしくお願いいたします。」

故人の遺志を継ぎ、病気になる前に病気を制する先制医療に腸管モデルが活用されるべく私たちは邁進してゆきます。
東先生、本当にありがとうございました。
私たちを天国から見守っていてください!
合掌



西オーストラリア大学のKevin Croft教授来訪時(写真館32に掲載)に六甲道の居酒屋「魚喰」にて撮影。福井の銘酒「黒龍」を賞味させて頂きました。

農水省事業研究助成によるプラズマ殺菌装置作成のため兵庫県内の食肉処理施設現地視察時に撮影。お忙し中にもかかわらず丸一日ご同行頂きました。」

頂いた最期のメールには「大澤先生と水野先生たちとの楽しい時間は私としましてかけがいのない大切なものです」と付記されていました。