(3)ビフィズス菌の産生するバクテリオシン関する研究



fig  バクテリオシンとはグラム陰性菌、グラム陽性菌を問わず数多くの細菌が産生する、主に同種または近縁種の菌株に対して抗菌作用を示すタンパク質、またはペプチド類の総称です。その物理的または化学的性状は多様であり、分子量は数千から数万で、なかには複数のタンパク質の複合体から構成され、バクテリオファージに非常に似通った形態および性状を示すものも存在します。
 グラム陽性菌の産生するバクテリオシンは、一般的にグラム陰性菌の産生するものより広い抗菌スペクトルを有しており、感受性菌に対する吸着特異性がありません。また、比較的高分子で熱感受性のものは少数で、ほとんどは低分子かつ熱安定性で陽性電荷を有するペプチドです。
 グラム陽性菌の生産するバクテリオシンは分子量、熱安定性、修飾アミノ酸(ランチオニン)の存在の有無、一次構造および作用機構を基準にして乳酸菌群の産生するバクテリオシンを中心に下記のように4つのクラスに分類されています。

 1)  クラスI  :ランチビオティクス(修飾アミノ酸が含まれるバクテリオシン)
 2)  クラスII   :低分子量・熱安定性の非ランチビオティックス
      クラスIIa :ペディオシンタイプのバクテリオシン (リステリア菌に対して抗菌性をもつ)
     クラスIIb :2成分ペプチドバクテリオシン
     クラスIIc sec-システム依存性バクテリオシン(バクテリオシンが分泌されることにより体外に放出される)
     クラスIId :クラスIIa〜IIcに属さないクラスIIバクテリオシン
 3)   クラスIII  :高分子量・熱感受性バクテリオシン
 4)   クラスIV  :複合体型バクテリオシン

 これまでに種々の菌が産生するバクテリオシンについて多くの報告がなされてきましたが、近年プロバイオティクスとして脚光を浴びているビフィズス菌の産生するバクテリオシンに関する報告は少ないです。そこで本研究ではBifidobacterium longum のバクテリオシン産生について調べてみました。その成果としてB. longum の同種内での抗菌スペクトラムをもったバクテリオシンと推測される物質を分離しました。現在この抗菌物質についてさらに詳細な構造解析を行っています。
 




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