1. ようこそ水環境学研究室へ
神戸大学農学部水環境教育研究室は，農業・農村のうち，特に“水”に関わる事項を研究対象とする研究室です．水環境学研究室の研究基盤は，水文学と潅漑排水学にあります．水環境学の研究は，特に水資源の開発と管理を通じて，社会に貢献することを目標としています．このため卒業研究，修士論文，博士学位論文での研究テーマは，潅漑排水，流域水文，水質・水文を基軸としたものとなっています．
2. 流域の水文学
試験小流域やダム流域の水文資料に基づいて降雨流出現象の解析を行っています．具体的な研究テーマは，流出モデル定数の最適化手法，洪水・渇水の予測，緑のダム機能の水文学的評価，海外河川における流出解析，地球温暖化の影響評価など多岐に渡っています．
3. 集水域の水質・水文
河川や集水域等の水系から流入する栄養塩や有機物などの物質は，湖沼や内湾といった下流の閉鎖性水域での水質汚濁につながります．農林地からの物質流出が水環境に与える影響を考える上で，汚濁物質の水域への流入総量の推定が大切になりますが，その精度など負荷量の推定方法には技術的な問題があり，汚濁物質の排出規制などの対策を講じる上で大きな阻害要因となっています．汚濁物質総量の把握のためには，物質流出の主な駆動力である洪水流出などの水文学的なデータの蓄積と理解だけでなく，水質データの高頻度の連続観測値が必要となります．
4. 潅漑排水と水資源
これまでアフリカ，スーダン共和国の青ナイル川周辺に位置するゲジラ潅漑地区（世界最大規模の潅漑地区）を対象として，水資源管理と持続的潅漑農業に関する研究を継続して行っています．現在，青ナイル川流域の分布型水収支モデルによるモデル化とその水資源管理への応用に関する研究や，衛星リモートセンシングを利用したガッシュデルタ潅漑地区における蒸発散量の把握，水資源の有効利用に関する研究を行っています．
