講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2015年11月25日(水) 午後 5時〜
場 所 : 神戸大学・遺伝子実験センター 5階研修室
講 師 : 横井 雅幸 博士(学習院大学理学部生命科学科)
演 題 : YファミリーDNAポリメラーゼによる損傷トレランス
-紫外線損傷に対するDNAポリメラーゼ・イータの役割を中心に-

講演要旨

遺伝情報の媒体であるDNAは、内的・外的によらず様々な要因によって損傷を受け続けている。損傷したDNAは、ヌクレオチド除去修復に代表される修復機構で取り除かれるが、必ずしも全てが効率よく修復されるのではない。DNA複製の鋳型に損傷があると、多くの場合DNA複製装置は損傷の手前で停止してしまう。複製反応が完了しない状態が続けば、やがて細胞死が誘導される。このような状況を回避する機構として「損傷トレランス」があり、損傷乗り越え合成(TLS : translesion synthesis)はその主要な経路である。我々のグループは、紫外線に対して高い感受性を示し、高頻度でがんを発症する色素性乾皮症バリアント(XP-V)群の責任遺伝子産物としてDNAポリメラーゼ・イータ(Pol η)を同定した。そして、Pol ηが紫外線損傷の一つであるシクロブタン型ピリミジン二量体に対して効率よく高い正確性でヌクレオチドを重合することでTLSを担う、主要な損傷乗り越えDNAポリメラーゼであることを明らかにしてきた。Pol ηの発見以来、幅広い生物種において複数の類似のTLSポリメラーゼが同定され、現在ではYファミリーDNAポリメラーゼとして分類されている。本セミナーでは、哺乳類のYファミリーに属する4種類のTLSポリメラーゼの紫外線損傷に対する働きを、XP-V群のモデル生物として作成したPol ηノックアウトマウスの解析を中心としながら最近の研究結果を交えて紹介する。

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