講義・セミナー

特別講義のお知らせ(理学研究科)

特別講義「現代の生物学」

日 時 : 2017年12月22日(金) 午後 1時20分〜
場 所 : 神戸大学・理学研究科C棟 C509号室
講 師 : 高田 穣 博士(京都大学放射線生物研究センター)
演 題 : ファンコニ貧血経路による染色体ストレス応答制御

授業のテーマ

 ファンコニ貧血(FA)は小児潜性遺伝病で、生下時の四肢・内臓の奇形、その後徐々に発症する再生不良性貧血(骨髄幹細胞不全)、高頻度の白血病・固形がんの発症を特徴とする重症疾患である。細胞レベルではDNAクロスリンク薬剤による染色体断裂が高頻度で、染色体断裂試験としてこの疾患を定義し、臨床検査として利用されている。現在、FA原因遺伝子は22種類におよび、DNAクロスリンク修復において機能するFA経路を構成している。FA経路の最もキーとなる分子はFANCD2であり、FANCIと会合して複合体を形成し、DNA損傷後モノユビキチン化され、損傷局所に集積してドット状に分布する(フォーカス形成)。ほかの因子は、その上流で機能するコア複合体構成分子群、下流で機能する家族性乳がんの原因遺伝子とオーバーラップする相同組換え分子群、ヌクレアーゼ分子群などからなる。この授業では、FAとFA経路の機能、制御機構などについて概説する。

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