講義・セミナー
学術講演会のお知らせ
以下のセミナーを開催いたします。
| 日 時 : | 2019年06月07日（金） 午後 3時30分〜 |
| 場 所 : | 神戸大学・理学研究科C棟 C509号室 |
| 講 師 : | 篠原 美紀 博士（近畿大学・農学部） |
| 演 題 : | 減数分裂期の特殊性から見えてくるDNA損傷応答シグナルの多様な機能 |
講演要旨
減数分裂期交差型組換えは配偶子形成に必須であることから、内在性の因子(Spo11)によって引き起こされるプログラムされたDSBによって開始される。このDNAの傷を、遺伝情報が同一である姉妹染色分体間ではなく、遺伝情報がお互いに異なり物理的にも遠く離れている相同染色体間で交差型（乗り換え型）組換えによって修復することでキアズマを形成し、コヒージョンが存在しない相同染色体同士において染色体分配時の物理的接着を保証している。その中で、組換え修復において中心的機能を果たすリコンビナーゼRad51の減数分裂期組換えにおける機能の抑制、それに加えて減数分裂期特異的リコンビナーゼDmc1の存在や、染色体高次構造体の組換え制御への寄与、そしてMec1ATRが関わるDNA損傷応答のシグナル経路の違いなどが複雑に連携し合うことで、染色体構造やダイナミクスも含めて、減数分裂期組換えの特異性を作り出していることがわかってきている。本セミナーではDNA損傷チェックポイント因子の染色体高次構造形成における寄与と、その上で起こる局所的な反応である組換えの染色体全長における数と配置の制御における機能について最新のデータを織り交ぜて紹介したい。