「ごあいさつ」


神戸大学医学部 保健学科
病態解析学教室 寄生虫学研究室
宇賀昭二
  • 研究室の方針

  •  研究者は論文を書くことを要求されます。それが出来なければどんな結果を出そうとも“研究した”とは評価されません。私は大学院の学生といえども研究者であってほしいと願っています。修士課程の学生は大学院に入学後わずか2年で論文を書かなければなりませんので、在学期間中はゆっくりする時間はありません。研究三昧の毎日を送って初めてこれらが実現できるのです。従って、私たちの研究室では学生にはたっぷりの時間を用意していただくことになります。今日はアルバイトで早く帰りたいですし、明日は友人との会食がありますので、さらに明後日は云々・・等という学生は、残念ながら我々の研究室には向かないと思います。これらの努力の集大成として我々の研究室では「修士論文は英語で書くこと」と「修士論文の発表会は英語で行うこと」を決めております。過去には学部生時代に全く研究的な生活を送っていなかったり、英語が苦手な学生も何人か入室しましたが、立派にクリアしてくれました。頑張ってくれれば責任を持って指導します。一方、外に仕事を持って大学院で学ぶ学生(社会人枠)の研究指導は、一律ではなく個々の状況に応じた柔軟な対応をさせてもらっています。職場で充分な研究実績を積んでいる人の場合には、比較的自由にテーマを選び研究を続けていただくことが出来ます。これに対して研究経験をほとんど持たない人の場合には、修士を3年あるいは4年かけて修了する「長期履修制度」を適用させてもらうことになります(但し授業料は2年で修了した場合と同じです)。
     寄生虫に関心を持つヒトは大歓迎です。是非一度研究室を訪ねてみてください。



  • 研究内容

  •  私たちの具体的な研究内容や過去の業績等は「STUDY」や「LABORATORY」を見ていただければおわかりいただけると思いますが、研究テーマは多岐にわたっております。研究室では10種以上の寄生虫株を継代維持しておりますので、入室後の学生はまずこれらの継代を通じて虫と接してもらいます。その後、興味を持った虫あるいは研究課題を相談して決定し(テーマの難易度や研究遂行に必要な機関・研究費なども重要な検討要因です)、研究をスタートさせます。研究を進める上での具体的なスケジュールは本人に任せますが、自分の研究テーマは自分が押し進めて行くわけですので、努力した分だけ研究が進展することになります。

    現在進行中の研究テーマは;
    @ 開発途上国における土壌媒介性線虫類の分布とそれに関わる要因の研究
     宇賀が中心となって実施している開発途上国でのフィールドを中心とした研究です。
    A Centrocestus属吸虫による宿主の行動制御に関する研究
     寄生虫が生き残りのために宿主の行動を変化させる現象であり、我々は兵庫県下の河川から採取した淡水魚(カワムツ)とそれに寄生しているCentrocestus属吸虫を用いた実験を行っています。
    B 犬蛔虫卵の休眠現象の解明の研究
     犬蛔虫の虫卵はある環境下で休眠状態となり発育を停止した状態で長期間生存します。今まで知られていなかったこの現象の解明が進行中です。
    Cその他の研究
     寄生虫の凍結保存や人獣共通寄生虫症の疫学研究などを行っています。

     これら研究テーマはいずれもその都度専門の学術雑誌に報告してありますので(論文にしなければ研究しているとはいえません)、詳細はホームページ(publicationsの項目)をご覧下さい。



  • おわりに

  •  研究は、知識や技術だけでなくその基本が身につけばどんな分野にでも応用できると私は考えています。従って大学院生の研究指導に際しては、学生が研究に取り組む心構えや具体的な論文の書き方等といった能力を高められるよう心掛けています。今は比較的容易に大学院に入学・修了できるようになりましたが、少なくとも私たちの研究室で学んだ学生には、それに相応しい力を付けて出ていってほしいと願っているからです。
     私は「虫を見ること、虫から教わること」が重要であると信じて研究を続けてきました。その結果、単に寄生虫に留まらず国際保健や開発途上国等といった新たなキーワードにも関心を持つようになりました。今後もこれらと関わりながらみんなと一緒に研究を進めて行きたいと願っています。
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