【研究の興味】
維管束植物の地下部を構成する根系は、地上部を支えるだけでなく土壌から水分や養分を吸収する点で植物の生育にとって重要な役割を持っています。根系は発芽後伸長する主根と、主根の内部組織から形成される側根、地上部から形成される不定根によって構築されます。古くから植物ホルモンのオーキシンが根の形成、特に側根の形成に重要なことが知られてきましたが、その分子機構は近年まで詳しくわかっていませんでした。これまで私たちの研究グループでは、モデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いた分子遺伝学的手法により、側根形成の開始にオーキシンを介した特定の遺伝子発現制御系が必要なことを明らかにしてきました。
現在、(1)根の発生・分化に関わるさまざまな因子の解析によって根系構築の分子機構を明らかにすること、および(2)オーキシン生合成・輸送・シグナル伝達に関わる因子の解析によってオーキシン応答の分子機構を明らかにすることを目標として、シロイヌナズナとタネツケバナ属ミチタネツケバナを材料に研究を行っています。
これらの研究を通して、植物の生存にとって大切な「根」を作る仕組みと、植物ホルモン「オーキシン」に応答する仕組みを明らかにしたいと考えています。
(オーキシンと側根形成の詳しい解説はこちら [Background]を参照してください)
主な研究テーマ