ishizaki

石崎 公庸 (いしざき きみつね)

1974年生 石川県金沢市出身


【学歴】

1996. 3
京都大学農学部農芸化学科卒業
1998. 3
京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)
         修士論文タイトル「緑藻クラミドモナス低CO2要求性変異株C16の解析」
~ 2000. 3
(修士卒で製薬会社に入社、1999年12月までの2年弱勤務した。2000年4月に博士課程に入学)
2003. 3
京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了


【学位】
2003. 3
博士(農学)(京都大学)
 
学位論文「Gene identification and characterization of sex chromosome Y in the liverwort, Marchantia polymorpha」


【職歴】
1998. 4 ~ 1999.12
  株式会社大塚製薬工場 栄養研究所 研究員
2000. 1 ~ 2000. 3
  京都大学大学院農学研究科 研究員
2002. 4 ~ 2004. 3
  日本学術振興会 特別研究員
2004. 4 ~ 2006.10
  オックスフォード大学植物科学科 博士研究員
2006.11 ~ 2008. 3
  京都大学大学院生命科学研究科 特任助教
2008. 4 ~ 2013. 3
  京都大学大学院生命科学研究科 助教
2013. 4 ~ 現在
  神戸大学大学院理学研究科 准教授


【学会活動・その他】
日本植物生理学会、日本農芸化学会、日本植物学会、日本生化学会 各会員
第82回日本生化学会大会 組織委員小委員

【研究活動】

現在までに参画した研究課題【科学研究費助成事業データベース】


【受賞】

日本農芸化学会 2015年 BBB Most-Cited Paper Award、詳細はこちらを参照してください。
日本農芸化学会 2013年度 農芸化学奨励賞「光合成生物における生存戦略の分子機構に関する研究」、詳細はこちらを参照してください。
日本植物学会 2013年度 JPR論文賞、詳細はこちらを参照してください。
日本農芸化学会 2013年 BBB論文賞、詳細はこちらを参照してください。
日本植物生理学会 2015年度 日本植物生理学会奨励賞、詳細はこちらを参照してください。

【これまでの主な研究】
固着性である植物は、刻一刻と変化する外的環境に適応する仕組みを発達させてきた。私は、光合成生物が外的環境に巧みに適応し生存する分子機構を、緑藻から被子植物に至る様々な材料をモデルに研究を行ってきた。


1)基部陸上植物ゼニゴケにおける分子遺伝学研究基盤の確立(2007 ~ 現在)
  •  緑色光合成生物(植物)は、約5億年前に水中の環境から陸上へと進出したと考えられている。陸上は水中に比べ、乾燥に加え気温や光条件の変化が大きく紫外線も降り注ぐ過酷な環境である。固着性の生活様式をとる植物はどのように過酷な陸上の環境に適応し、現在の体制に進化したのか?そのような問題に答えを見つけるべく、陸上植物進化の基部に位置するコケ植物タイ類ゼニゴケに注目し、分子遺伝学の基盤となる実験手法の開発を進めている。
     ゼニゴケは半数体が主となる生活環、高い分化能と増殖能、雄雌異株であり交配による遺伝学が簡便であること、など実験モデルとして様々な利点を備えている。近年、進化的位置づけの重要性から、米国エネルギー省Joint Genome Instituteによる全ゲノム解析プロジェクトに採択されている。さらに光質による成長相転換制御技術(Chiyoda et al., 2008, Plant Cell Rep. [PubMed Link])、アグロバクテリウムを介した高頻度形質転換系(Ishizaki et al., 2008, Plant Cell Physiol.[PubMed Link]; Kubota et al., 2013, Biosci. Biotechnol. Biochem. [PubMed Link])、選抜マーカーとレポーター遺伝子の開発、葉状体再生断片を用いた形質転換系、T-DNAタギングを基盤とする順遺伝学アプローチ、相同組換えの原理に基づくジーンターゲティング法を確立した(Ishizaki et al., 2013 Scientific Reports [Journal Link])。これまでに開発したゼニゴケの研究基盤を軸に、細胞生物学から発生学まで、陸上植物の生存戦略の成り立ちと進化に着目した研究が国内外に広がりを見せている。

    2)植物の糖欠乏におけるミトコンドリアETF/ETFQO電子伝達系の機能解析(2003 ~ 2012)  
  •  学位取得後、博士研究員として在籍したオックスフォード大学植物科学科において、糖枯渇条件下における植物の生存戦略について研究した。植物は光エネルギーを用いて、大気中のCO2を固定することができる。しかし光が十分でない環境やストレス条件下では光合成が十分に行えず、しばしば糖欠乏状態になる。シロイヌナズナを用いた解析から、ミトコンドリア電子伝達系の分岐鎖とも言える電子伝達フラビン蛋白質複合体(ETF/ETFQO)が糖飢餓条件で誘導されること、ETF/ETFQO電子伝達系が糖欠乏条件において特に重要な役割を持つことを見出した。さらに糖欠乏条件における野生株と変異体のメタボロミクス解析(Max-Planck研とYork大との共同研究)を行い、ミトコンドリアETF/ETFQO複合体が分岐鎖アミノ酸代謝(Ishizaki et al., 2005, Plant Cell[PubMed Link]; Ishizaki et al., 2006, Plant J. [PubMed Link])およびリジン代謝に関わること(Araujo et al., 2010, Plant Cell [PubMed Link])を明らかにした。植物は日照不足などにより糖が枯渇した条件下においては、タンパク質分解に伴うアミノ酸分解を亢進することでエネルギー(ATP)を獲得しており、ミトコンドリアETF/ETFQO電子伝達系は糖飢餓時のエネルギー供給の鍵であることを示唆した(Araujo et al., Trends Plant Sci. [PubMed Link])。

    3)雌雄異株植物における性染色体の構造解析(2000 ~ 2003)
  •  京都大学大学院農学研究科での博士後期課程では、植物性染色体の構造解析を行った。動物とは違い、多くの植物は雌雄同体種であり、同一の個体におしべ、めしべを生じる。しかし植物にも雌雄異体植物が存在し、中には性染色体によって性が遺伝的に決定される種が存在する。ゼニゴケは半数体の雌雄異株植物であり、多くの植物に比べ極めて小さな性染色体を持つ。半数体生物における性染色体の構造と進化を調べるため、ゼニゴケの性染色体の構造解析を行った。Y染色体に由来するPACクローン、pMM4G7(約35kb)とpMM2D3(約90kb)の全配列決定および解析からY染色体特異的反復配列の反復配列単位の構造とその多様性を明らかにし、雄特異的遺伝子を6つ見出した(Ishizaki et al., 2002, Nucleic Acids Res. [PubMed Link])。さらにゼニゴケY染色体の全領域について構造解析を進め、X染色体の配列情報についても1部解析し(Yamato et al., 2007, Proc. Natl. Acad. Sci. USA [PubMed Link])、それらのゲノム配列の比較解析から半数体性染色体の成立と進化について考察した。

    4)緑藻における環境中のCO2濃度センシング機構の研究(1997 ~ 1998)
  •  京都大学大学院農学研究科での修士課程では、緑藻クラミドモナスを用いた生理学と分子生物学を学んだ。多くの水生微細藻類は、環境中の低CO2濃度環境を感知し、無機炭素濃縮機構に関わる複数の遺伝子の発現を誘導することによって、細胞内に無機炭素を能動的に取り込む。緑藻クラミドモナスをモデルとし、無機炭素濃縮機構に異常のある変異体の解析(Fukuzawa et al., 1998, Can. J. Bot. [Journal Link])と原因遺伝子の同定(Fukuzawa et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA [PubMed Link])を行い、光合成基質である無機炭素のセンシング機構の制御因子の同定に関わった。



    【招待講演】

    • 石崎公庸
      ゼニゴケ配偶体の幹細胞増殖を制御するメカニズム
      日本植物学会第80回大会、沖縄・沖縄コンベンションセンター、2016年9月17日
    • Kimitsune Ishizaki
      Molecular genetics of gemma and gemma-cup development in the liverwort Marchantia polymorpha
      EMBO workshop "New model systems for early land plant evolution", Vienna, 2016年6月22-24日
    • Kimitsune Ishizaki
      Conserved mechanism for secondary meristem formation in land plants
      第57回日本植物生理学会年会、盛岡・岩手大学、2016年9月17日
    • Kimitsune Ishizaki
      Conserved mechanism for secondary meristem formation in land plants
      第57回日本植物生理学会年会、盛岡・岩手大学、2016年9月17日
    • 石崎公庸
      植物における栄養繁殖の分子メカニズムとその進化
      サントリー生有研シンポジウム「性と成熟:その普遍性と多様性を支える機構」、京都・サントリーワールドセンター、2016年2月5日
    • Kimitsune Ishizaki
      Vegetative propagation: development of asexual progenies from vegetative tissue
      第56回日本植物生理学会年会、東京・東京農業大学、2015年3月16日
    • 石崎公庸
      ゼニゴケから見えてきた栄養繁殖と腋芽発生の共通制御メカニズム
      日本植物学会第78回大会、東京・明治大学、2014年9月12日
    • 石崎公庸
      コケ配偶体における器官発生の分子遺伝学
      イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ、東京・東京大学、2014年7月12日
    • 石崎公庸
      コケ植物における無性芽の発生と休眠
      第55回日本植物生理学会年会、富山・富山大学、2014年3月18日
    • 石崎公庸、加藤大貴、河内孝之
      ゼニゴケから探るオーキシン応答の基本メカニズムとその進化
      第54回日本植物生理学会年会、岡山・岡山大学、2013年3月22日
    • 石崎公庸、河内孝之
      ゼニゴケで探るコケ植物の光応答と発生制御
      日本植物学会第76回大会、姫路・兵庫県立大学、2012年9月15日
    • 石崎公庸、大和勝幸、河内孝之
      遺伝子機能を自在に研究できるモデルへ−ゲノム・突然変異体・形質転換−
      第53回日本植物生理学会年会、京都・京都産業大学、2012年3月17日
    • 石崎公庸、井上佳祐、保坂将志、片岡秀夫、大和勝幸、河内孝之
      基部陸上植物の光応答−フィトクロムを介した光形態形成の分子機構−
      日本植物学会第75回大会、東京・東京大学駒場キャンパス、2011年9月18日
    • Ishizaki, K., Masuda, A., Saida, Y., Ueda, M., Yamato, K.T., and Kohchi, T.
      Transgenesis of the liverwort Marchantia and its application to developmental genetics.
      XVIII International Botanical Congress, Merbourne Australia, 2011年7月25日
    • 石崎公庸、千代田将大、大和勝幸、河内孝之
      苔類ゼニゴケを用いたオルガネラ研究の可能性−
      第11回植物オルガネラワークショップ、2009年3月20日
    • 石崎公庸
      暗所生育環境における植物ミトコンドリアETF/ETFQO電子伝達系の代謝機能
      第30回日本分子生物学会・第80回日本生化学回合同大会 植物メタボローム−植物の多様な代謝物解析からシステム生物学へ−、2007年12月11日
    • 石崎公庸
      シロイヌナズナ電子伝達フラビン蛋白−ユビキノン酸化還元酵素の機能解析
      第8回植物オルガネラワークショップ、2007年3月19日