外的摂動とアズキゾウムシ個体群動態の相互作用に関する研究

個体群動態は、自己増殖率と個体間相互作用のパラメータによって個体群において内的に決定されていると考え られてきた。しかしロジスティック写像で近似した場合、実験室環境と自然環境とではパラメータが異なるなどの可能 性も得られていた。

我々は、とくに蚊の大量捕殺(駆除)などにおいて認められてきたリバウンド、すなわち駆除すること で一時的には減るがしばらく後大発生する現象が、自己増殖率を変更する結果得られるのではないかと考え、アズ キゾウムシを用いた実験を試みた。アズキゾウムシは体長2−3mmでアズキに産卵し、幼虫はアズキ内で2−3週間 過ごした後、成虫となってアズキ外部に出る。直後に交尾して次世代を形成する。このアズキゾウムシを追加群、除 去群、対照群の3群に分けた。各群は、おのおの5つの分離された個体群から構成され、追加群では成虫が現れた 後、その個体数の50%を別途ストックされた虫で追加し、除去群では同じく50%を除去し、環境からの影響とした。対 照群では個体数を変更しなかった。

その結果、対照群と追加群とでは飼育環境の中で速やかに飽和状態に達し、自 己増殖率はほぼ同じであった。これに対し除去群では、急激な個体群の減少を感知するかのように自己増殖率が増 大する結果が得られた。両者の違いは統計的にも有意であった。しかしもし個体群の変化によって自己増殖率が変 化するなら、自己増殖率が安定しないのではないか、との疑問も生じた。実際の除去群では自己増殖率は他の2群と異なるものの安定であったから。 我々は自己増殖率と個体数とが相互作用する簡単なモデルを構築し、その挙動を調べた。その結果、自己増殖率 は幾つかの安定な値を有し、システムは安定な自己増殖率に長期間停留しその後変遷する挙動が認められた。こ の数値計算結果は、実験で認められた増殖率の安定性を説明するものであった。