<資源・材料とエネルギー>教養原論 ●授業のテーマと目標: 周期表に示されている111種類の元素の素顔を個別に訪ねながら、それらの化学的特性と資源・材料としての役割・可能性、発見や命名のエピソードをゆっくり学ぶ。 |
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元素と原子の違い、原子の性質を規定する電子配置の考え方、同族の典型元素がよく似た 性質を持つ理由、遷移元素やランタノイド、アクチノイドがよく似た性質を示す理由、原 子どうしが互いに結びつく形式を理解し、周期表を使いこなせるようになろう。 元素によって存在確率が異なるのはどうしてか。ビッグバンで生じた元素もあれば、星の 中で生まれた元素もある。超新星爆発によって生まれた元素もある。存在確率についても 我々に最も近い地殻で考える場合と宇宙全体を対象とする場合とでは異なる。原子の中心 にある原子核は陽子と中性子とで構成される。その結合エネルギーの大きさに基づいて元 素の安定性が理解できるようになろう。不安定な元素は放射性同位元素とよばれ、放射線 を出す。不安定な元素とその活用方法について学ぼう。核融合反応と核分裂反応とが生じ る理由をそれぞれ理解しよう。 ある元素は我々の生命活動に必須である。社会経済活動もまたその幾つかを必要としてい る。また元素の幾つかは我々の歴史時代を完全に規定した。元素の発見とその社会に対す る巨大な作用についても典型例を学ぼう。 |
●教科書 『元素111の新知識』(桜井弘編)講談社BLUE BACKS(1997) ●参考書 『マリー・キュリー/フラスコの中の闇と光』(バーバラ・ゴールドスミス)WAVE出版(2007) 『Newton別冊/完全図解周期表』Newton Press(2007) 『よくわかる最新元素の基本と仕組み』(山口潤一郎著)秀和システム(2007) 『ゼロから学ぶ元素の世界』(宮村一夫著)講談社(2006) 『酸素の物語/化学の物語1』(カレン・フィッツジェラルド)大月書店(2006) 『水素の物語/化学の物語2』(マーク・D.・ユーリン著)大月書店(2006) 『金の物語/化学の物語3』(ハル・へルマン著)大月書店(2006) 『鉄の物語/化学の物語4』(カレン・フィッツジェラルド著)大月書店(2006) 『炭素の物語/化学の物語5』(マーク・D.・ユーリン著)大月書店(2006) 『窒素の物語/化学の物語6』(カレン・フィッツジェラルド著)大月書店(2006) 『図学雑学 元素』(富永裕久著)ナツメ社(2005) 『リーゼ・マイトナー/嵐の時代を生き抜いた女性科学者』(R. L. サイム著)シュプリンガーフェアラーク東京(2004) 『元素を知る事典?先端材料への入門?』(村上雅人編著)海鳴社(2004) 『金属なんでも小事典』(増本健監修)講談社BLUE BACKS(1997) 『化学元素発見の道』(D. N. トリフォノフ、V. D. トリフォノフ著)内田老鶴圃(1994) 『化学語源ものがたり』(竹本喜一・金岡喜久子著)化学同人(1986) 『元素と周期表』(井口洋夫著)裳華房(1969) <原子物理学>海事科学部 水素原子を例にして、シュレディンガー方程式の解法を学び、その解としての波動関数の物理的意味について考えられるようになることを目標に授業を進める。多電子原子や化学結合、レーザー発振を理解するための基礎を学ぶ。 (1)光電効果とコンプトン散乱 (2)スカラー及びベクトルポテンシャルと電磁波の波動方程式 (3)プランクの黒体放射公式 (4)シュレディンガー方程式の導入 (5)井戸型ポテンシャル問題 (6)周期的境界条件と調和振動子 (7)調和振動子とエルミート多項式 (8)極座標で表したシュレディンガー方程式 (9)中心力問題と変数分離 (10)ルジャンドルの微分方程式 (11)ルジャンドル多項式の漸化式と母関数 (12)角運動量とその演算子 (13)ルジャンドル陪関数と球面調和関数 (14)水素原子の基底状態:ラゲールの多項式 (15)水素原子の励起状態 ●教科書 『初等量子力学』(原島鮮著)裳華房 <金属材料学>海事科学部 多電子原子の電子構造を概観した後に、金属の結晶構造について学ぶ。熱平衡空孔とその自己拡散における役割を理解し、拡散現象全般を学ぶ。さらに合金については熱力学的な側面からアプローチし、2元状態図を化学ポテンシャルとの関係で理解できるようにする。鉄-炭素系の状態図を読めるようにする。 (1)多電子原子の電子構造 (2)ブラベー格子と結晶構造 (3)金属の結晶構造 (4)空孔と転位 (5)単結晶と多結晶 (6)熱平衡空孔と自己拡散 (7)拡散方程式の解 (8)再結晶・析出・焼結 (9)全率固溶型状態図 (10)共晶型状態図 (11)包晶型状態図 (12)金属間化合物 (13)銅合金 (14)鉄と炭素鋼 (15)マルテンサイト変態 ●教科書 『金属材料概論』(小原嗣朗)朝倉書店(1991) <ナノ物性計測科学>海事科学研究科 【目的・方針】 高エネルギーの粒子が誘電体中を通過するとその軌跡周辺にトラック(飛跡)が形成される。トラックは瞬間的に高温高密度の状態に置かれたナノスケールの領域と見なすこともできるが、その性質は通過した粒子の種類やエネルギーに強く依存する。したがって、そのトラックを分析することによって、逆に粒子種やそのエネルギーを求めることが可能であり、トラックが形成されてよりその誘電体が置かれていた環境の歴史的な遍歴を知ることも原理的には可能である。本講義では、イオントラックの物性科学と分析方法とについて述べ、放射線計測、宇宙線計測、鉱物・考古学、ナノサイズ加工への応用に関する最近の研究成果を紹介する。 【授業内容と計画】 固体飛跡検出器の動作原理についての概観を与え、トラックの形成機構についての幾つかの理論を紹介する。次にトラックのサイズと構造を評価する分析方法について述べる。検出器として注目されている代表的な材料を紹介した後に、宇宙線の分析から宇宙の年齢を推算する手法、鉱物中のトラックからその鉱物の年齢を求める手法等についても紹介する: (1)アポロ宇宙船船員のヘルメットと固体飛跡検出器の動作原理、 (2)エッチング処理とエッチピットの幾何学、 (3)イオンの発生と加速、宇宙放射線と自然放射線、 (4)イオンの阻止能と線エネルギー付与、 (5)トラック内線量分布理論、 (6)トラックサイズ及び構造評価方法:原子間力顕微鏡、赤外線分光、紫外線-可視分光、ラマン分光、電気伝導度法、 (7)CR-39プラスチックとLR-115硝酸セルロースの放射線計測への応用、 (8)鉱物学におけるイオントラック、 (9)BP-1リン酸ガラスと宇宙科学におけるイオントラック、 (10)イオンビームを用いたナノサイズ加工。 前半は講義の形式を取るが、幾つかのトピックスについては代表的な複数の論文をベースにして討議する。受講者には予め論文を配付するので事前に読んでくることとする。報告担当箇所を設定しそこについては適切な和訳を含め内容を他の受講者に説明出来ることを要請する。 【成績評価方法】 報告が適切に出来ることを求める。適宜レポートを課す。 【教科書】 講義において指示する。 【履修上の注意】 学部レベルの原子物理学、量子力学、統計熱力学、物性論、放射線計測、 粒子ビーム工学等についての基本的内容を修得しておくことが望ましい。 【連絡事項】 <ナノ物性科学>海事科学研究科 【目的・方針】 高エネルギーの粒子が誘電体中を通過するとその軌跡周辺にトラックが形成される。トラックの性質は通過した粒子の種類やエネルギーに強く依存するので、それを分析することによって、逆にその粒子種やエネルギーを求めることが可能である。また、トラックを含む誘電体が置かれていた環境の歴史的な遍歴を知ることも原理的には可能である。本講義では、イオントラックの物性科学と分析方法とについて述べ、放射線計測、宇宙線計測、鉱物・考古学、ナノサイズ加工への応用に関する最近の研究成果を紹介する。 【授業内容と計画】 重イオンが誘電体中に形成するトラックのナノサイズの構造とその形成機構、及びそれらに関する物理化学と最先端計測・分析手法について講述する。固体飛跡検出器の動作原理についての概観を与え、トラックの形成機構についての幾つかの理論を紹介する。次にトラックのサイズと構造を評価する分析方法について述べる。検出器として注目されている代表的な材料を紹介した後に、宇宙線の分析から宇宙の年齢を推算する手法、鉱物中のトラックからその鉱物の年齢を求める手法等についても紹介する。 【成績評価方法】 いくつかの短いレポートを課す(30%)。課題の報告が適切に出来ることを求める(70%)。 【教科書】 講義において最近の研究論文を紹介する。 【履修上の注意】 学部レベルの原子物理学、量子力学、統計熱力学、物性論、放射線計測、粒子ビーム工学等についての基本的内容を修得しておくことが望ましい。 |