レーザー分子光科学研究部門

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レーザー分子光科学研究部門

小堀研究室

当研究室では、タンパク質複合体や有機太陽電池、光触媒などの様々な光エネルギー変換システムにおいて、光によって生成する電荷や励起状態などの反応中間体の位置および立体構造と電子軌道間の相互作用の実験的解析に取り組んでいます。近年私達は、時間分解電子スピン共鳴法で観測される信号をプローブとし、生成する中間体の電子軌道の位置とその立体的配向を極めて高い空間分解能で画像化することを可能とする「電子スピン分極イメージング法」を独自に開発しました。さらにこの手法を応用し、植物の光合成初期過程で効率よく電荷を生成する機構を解明することに成功しています。このようにタンパク質や太陽電池の反応初期段階で生じる不安定な中間体について、分子の位置や軌道の向き、軌道の重なりの性質を正確に求める手法の開発を進めることにより、1)分子が効率的なエネルギー変換や立体構造変化を起こす根源的なしくみの解明と、2)よりすぐれたデバイス創製などの産業・医療分野への展開が期待されます。

主な研究テーマとしては、以下の通りです。

タンパク質に生成する初期電荷分離状態の構造解析と電子的相互作用

  • 光合成タンパク質やフラビン酵素などのタンパク質複合体は精緻に配置された補酵素やアミノ酸残基を電荷の通り道として用い、多段階の光電荷分離過程により効率よく光エネルギー変換を起こしています。では、タンパク質に複雑に配置された分子同士はどのような相互作用を持ち、どのような仕組みで電荷が流れるのでしょうか。私達は、タンパク質の反応初期に生まれる不安定な中間体について、分子の位置や軌道の向き、軌道の重なりの性質を時間分解電子スピン共鳴法により正確に求め、生体分子が効率的なエネルギー変換や立体構造変化を起こす様子をナノ秒領域における立体映像として画像観測する研究を行っています。さらに、ヒトタンパクについてはアミロイド繊維などのタンパク質凝集化によって起こるアミノ酸残基の局所構造変化を追跡し、タンパク質変性を生じる機構の解明も進めています。

太陽電池や光触媒の光活性層における電荷解離機構の解明と電子状態解析

  • 近年、極めて高いエネルギー変換効率を示す有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト型太陽電池や光触媒が開発され、世界的な注目が集まっています。このような系では光子を効率的に電荷に変換する光活性層が中心的な役割を果たしています。しかし、有機半導体やペロブスカイト結晶層の初期過程で生成する電子-正孔対の立体配置と電子状態を同時に特徴づけることは極めて困難であり、未だ光電変換機構に対する分子論的理解は進んでいません。私達は、このような初期過程で生成する電子-正孔対を電子スピン分極イメージング法による三次元画像として直接捉えることにより、電子-正孔対の電荷再結合によるエネルギーロスを抑制し、さらに静電相互作用による安定化を振り切る電荷解離の仕組みを明らかにする研究を行っています。
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