神戸大学環境物質科学研究室

研究テーマ


私たちの研究とその目指すもの


始めに

  私たちを取り巻く環境には、多様な生物が生活しています。特に私たち人間は、高度に発達した各種の器官を有機的に連 携させることにより、様々 な生命活動を営んでいます。私たち神戸大学環境物質科学研究室では、その様な生物の持つ高度な機能的役割の中で、特にヒト薬物代謝能力と植物 による薬物吸収に着目し、これらを分子レベルで解析すると共に、バイオマーカーによる高感度なヒトの疾患診断や植物 を用いた環境浄化などへの 応用に向けた研究を展開しています。



ヒトの薬物代謝とは
  私たちは、外界から食品の形で栄養素を摂取しています。これら食品中の各種成分は、ヒト体内で代謝され、それらはエネルギーや新たなヒトの体 を形作る材料として利用されます。そういう意味では、私たちは常に外界から異物を取り込みそれを利用する運命にあるわけです。
外界から取り込んだ総ての異物が、常に人の健康に対してプラスに働くとは限りません。例えば、それらは体内での薬物代謝反応により強力な発ガ ン物質へと変化する例も明らかになっているからです。

薬物代謝検出系の高度化と応用
  私たちが食する様々な食品や医薬品といった外来性異物の中には、食品本来の成分と食品を生産中やその輸送中に意図せずに混在してしまった化合 物や、ある特定の患者には強い副作用を示すような化合物があることが知られています。もしこれらがヒトの体内に入った場合、どの様な運命をた どるのかについて高度に予測できる検出系があれば、食品や医薬品の無用な危険性を回避する手段となります。そこで、この目的のため現在動物実 験や機器分析法などが多用されていますが、これらはヒト自身を観察しているわけではありませんので新たな評価法が望まれてきました。

植物による環境浄化と汚染検出技術の研究
  ダイオキシン類や内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)類、また、ある種の残留農薬は、環境を広く汚染し、食 物連鎖を通して生態系や人 の健康へ影響を及ぼしていることが明らかになってきました。そこで、これら汚染物質を認識する受容体を植物に発現し、環境負荷化学物質のバイ オアッセイを試みています。また、これら汚染物質に対して代謝能の高い遺伝子を導入した環境浄化型植物の作製を試みています。さらに、脂溶性 汚染物質を効率よく吸収できる植物がもつ吸収メカニズムの解明に取り組んでいます。

環境物質科学研究室の研究目標
  神戸大学バイオシグナル総合研究センター・環境物質応答研究分野では、最先端のバイオマーカー技術と植物を用いた環 境汚染の評価やその浄化な どの新たな技術開発を行っています。



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