Intergenomics Seminarセミナーと勉強会

第8回 インターゲノミクスセミナー

講演タイトルと講演者

「植物の枝分かれを制御する新しい植物ホルモン」
山口信次郎 先生(理化学研究所植物科学研究センター)
「植物が匂いを出す理由:揮発性化合物による化学生態学」
松井健二 先生(松井健二)

世話人より

 平成20年11月7日(金)に、理化学研究所植物センターより山口信次郎先生を、山口大学医学研究科(農学系)より松井健二先生をお招きして、「化学物質が取り持つインターゲノミクス」をテーマにご講演いただきました。70名(うち教員18名)という、多くの方が来場されました.  山口信次郎先生は「植物の枝分かれを制御する新しい植物ホルモン」という演題で、最近特に注目されている化学物質である、ストリゴラクトンの新たな生理機能の発見を、迫力あるお話ぶりで講演されました。もともと別個に進められていた、テルペン化合物のストリゴラクトン合成系の研究と、分岐異常を示す突然変異体の研究が、一つの研究へと合流し大きな成果を挙げられたというお話は、学術的な内容のみならず、参加者、特に学生にとって、研究の持つ大きなダイナミズムを感じることができたすばらしいご講演であったと思います.

 松井健二先生には、「植物が匂いを出す理由:揮発性化合物による化学生態学」という演題で、植物がいわゆる「青臭い」匂いを出す生化学的なメカニズム、またそれが実は植物が外界生物とのコミュニケーションに使っているというスケールの大きな話題をされました.植物由来の化学物質の機能が植物個体内で完結しているのではなく、広い外界と結び付けていることに、多くの参加者が化学物質のダイナミックな機能を感じ取ってもらえたと思います.

 講演をお願いした際に、お二人の先生方がどのような経緯で研究者の道に進まれたか、また研究に対するポリシーなどもお話ししていただきたい、と依頼していましたので、研究の本題に入るまでのイントロダクションで簡単な先生方の人となりをかいま見ることができたこともよかった点だと思います。

最後にお二人の先生方の感想を記しておきます。

講演者からのコメント

松井健二 先生

この講演会では植物がなぜ匂いを発するのか、についての私なりの考えと、それをサポートするデータを紹介させていただきました.残念ながらデータが不十分でこの疑問に明快に答えることができていない内容のお話でしたが、学生さんを始め多くの方が真剣に聞いて下さり、また的確な質問をいただけたのは今後の私の研究の進め方を考える際に貴重な経験でした.講演終了後に若手の教員の皆さんとお話しできる機会を設けていただいたのも幸いで、異分野の方と情報交換させていただけたのは新鮮でした.ありがとうございました。

山口信次郎 先生

先日は大変お世話になりました.私にとってもいいディスカッションができて有意義な会合でした.

(世話人:山内靖雄)