Intergenomics Seminarセミナーと勉強会

第37回インターゲノミクスセミナー
「染色体分配システム研究の最前線」

講演タイトルと講演者

「植物の動原体構成要素の解析とその応用」
長岐 清孝 先生(岡山大学 資源植物科学研究所)
「卵母細胞がエラーを起こしやすい原因」
北島 智也 先生(理化学研究所 CDB)

世話人より

第37回インターゲノミスクセミナーが、平成28年11月11日(金)15:10より農学部B401で行われました。今回のセミナーのテーマは「染色体分配システム研究の最前線」ということで、岡山大学から長岐清孝先生、理化学研究所から北島智也先生をお招きして、ご講演いただきました。

長岐先生は、これまでご自身の行ってきた植物の動原体に関する研究について、幅広く紹介されました。動原体タンパク質の同定を介して、どこまでその構成要素が種間や形態的に異なる動原体で保存されているかということから、エピジェネティック修飾解析を含む最新のイメージング手法、基礎研究における発見を利用した応用研究の可能性まで、どれも興味深いお話でした。

北島先生は、卵母細胞で染色体の分離エラーが起こりやすい原因について、未発表の実験結果とご自身の仮説を紹介されました。マイクロマニピュレーションにより細胞質体積の異なるマウス卵母細胞を人工的に作出し、高解像度ライブセルイメージングで観察することにより、胚発生を行うために獲得した巨大な細胞質が染色体エラーの起きやすい原因であることを見事に見せてくれました。

講演者からのコメント

長岐 先生

 この度は、インターゲノミクス研究会で発表する機会を与えて頂き、どうもありがとうございました。今回の講演では、普段あまりその機能について考えること無く、「ただの1本のDNA」と考えてしまいがちな染色体について、その機能とそれに関連する染色体構造を私がこれまでに行ってきた植物の動原体解析を中心に話させていただきました。皆様に少しでも染色体や動原体について興味をもっていただけたならば幸いです。また、今回の発表の準備は、私のこれまでの20年間近い動原体に関する研究を振り返る良い機会になりました。加えて、理研の北島先生のお話も大変興味深く、今後の私たちの研究の方向性について考えることが出来ました。講演でも触れましたが、今回の講演が私たちの染色体やエピジェネティクス修飾の組織内可視化技術を用いた共同研究へと発展していければと思います。

北島 先生

この度はインターゲノミクスセミナーにお招きいただき、ありがとうございました。多様な分野の先生方に私どもの研究をご紹介でき、また、様々な視点からのご意見や議論をいただけ、大変貴重な機会でした。どの分野にあっても、研究者というものは、できるだけ独自のアイ デアで、できるだけ楽しみながら研究を行おうとするのが性であろうと思います。独創的な発想や刺激的な体験は、自分の研究がある程度異なる分野とも繋がり始めたときに、起こるもののように思えます。インターゲノミクスという考えのプラットフォームに立ち、多様かつ率直な議論を交わすことができたのは、非常に有意義でした。今後ともぜひ、アクティブな交流をお願いしたく思います。ありがとうございました。

(世話人:宅見薫雄、李智博)