西堀友之研究内容 <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=Shift_JIS">

インドネシア環境水より分離されたコレラ毒素遺伝子保有非コレラ菌株に関する研究

 コレラは、現在までに7回の世界的流行が報告された腸管感染症である。7回目の世界的流行の“発祥地”とされるインドネシアの環境水から今後コレラ を引き起こす可能性を持つ菌を検出するため、V. cholerae分離用培地であるPMT寒天培地を用い、くすんだ黄色いコロニーを示すコレラ様細菌65株を分離した。 コレラを引き起こす最大の原因であるコレラ毒素をコードしているctxABを標的としたPrimary-PCR、Nested-PCRを行ったところ、7株で約1kbのPCR産物が得られた。 ctxABの塩基配列を解析したところ、3株がClassical型、4株がElTor型のctxBを保有し、ctxAの配列に関してはいずれも共通の配列を保有していた。 ribosomal DNAを標的としたPCR、塩基配列解析やAPI 20E、0% NaCl条件下発育試験により、ctxABを保有した7株の菌種同定を行ったところ、 V. choleraeは1株のみで、V. choleraeとは異なる種のVibrio属菌が3株、Aeromonas属菌が3株という結果であった。更に、この7株についてCTXファー ジ上に存在する ctxAB以外のORF、CTXファージ獲得に関与するタンパクをコードしたORFを標的としたPCRを行ったが、全てを保有して いるものはV. cholerae1株のみで 、V. cholerae以外の6株に関しては、保有が散発的であった。これまでは他の研究により、ctxABが存在するCTXファージは、V. choleraeおよびV. mimicus でのみ保有するものとされてきた。しかし、本実験の結果より、環境中に存在する他のVibrio属菌およびAeromonas属菌もctxABの配列を保有していることが明らかとなった。 そのため、これらの菌によって、ctxABが存在する種特異的なファージの感染が起こっている可能性が示唆される。 今後は、このctxABが存在しているファージの遺伝子構成など更に詳細な解析を行うことで、環境中には如何なる菌が存在するのかを明らかにする必要性がある。

 
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