尾崎薫研究内容 <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=Shift_JIS">

新規ビフィズス因子の探索:黒糖によるBifidobacterium breveの増殖促進

 ビフィズス菌は、新生児腸内細菌叢において圧倒的多数を占める。その由来として、母親からの「垂直伝播」が示唆されているが、 未だ定かではない。
 そこで本研究では、健康母親およびその新生児糞便より分離されたビフィズス菌について 菌株レベルでの母から子 への菌株の伝播の有無について検証した。次いで伝播経路の推測を行うため、「母子垂直伝播」が確認されたビフィズス菌株の好気及び 微好気条件下、さらにヒトの手指上や乾燥条件での生残性を調べた。まず、生後3日、1ヶ月時母子糞便よりビフィズス菌を分離し、 その中で高頻度に 分離されたB. longum subsp. longumについてPFGE法による菌株識別および系統解析を行った。結果5組中3組の母子より 生後3日目においてPFGEバンドパターンが完全に一 致する菌株が確認された。一方他の母親と新生児、あるいは新生児間から、 同系統に分類される菌株はなかった。さらに新生児糞便由来株とPFGEバ ンドパターンが完全に一致した母親糞便由来株について、 好気・微好気条件下、MRS平板上、および好気条件下、手指上・乾燥状態での生残性試験を 行った。結果、MRS平板上での生残性試験では、 好気条件下で6時間、微好気条件下で18時間生残数が維持される結果となった。また、手指上では 生残数が急速に減少し、 3時間で全ての菌が死滅した一方、乾燥状態では生残数が緩やかに減少し、36時間で全ての菌が死滅した。
 以上の結果より、 母から子へのビフィズス菌の垂直伝播が菌株レベルで確認されたとともに、その伝播は手指でなく、 産道や環境を介して起こっていることが示唆された。


 
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