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テラヘルツ分子化学研究部門

富永研究室

当研究室では、主にフェムト秒レーザーを用いた新規な分光法を用いて、液体や溶液、またタンパク質やポリペプチド等の生体高分子について、その動的な挙動や化学反応ダイナミクス、分子間相互作用に関する基礎的な研究を行っています。特に、水やアルコールなどの水素結合性液体に興味を持っています。これらの系には、分子間水素結合の開裂、生成、また組み換え、さらに水素結合ネットワークの構造揺らぎなど、分子の集団的な運動による、特徴的なダイナミクスが存在し、その集団性が溶質分子の化学反応やタンパク質の機能発現に重要な役割を演じます。我々は、精密分光測定と理論計算を通して定量的に議論することにより、これらの多くの分子が関与する複雑な運動を理解することを目指します。

主な研究テーマとしては、以下の通りです。

2次元振動分光等の非線形赤外分光による振動状態の揺らぎの観測

  • 2次元振動分光を用いることにより、1次元の通常のスペクトル測定では得ることができない、詳細な情報について調べることができます。例えば、溶液中の溶質分子の振動状態に注目し、その振動遷移の揺らぎの時間相関関数を厳密に決定することができます。これにより、溶液中で溶質分子が、周辺の溶媒分子の影響を受け、どのように揺らぐのか、どのような溶媒-溶質相互作用が重要なのか、また溶媒のどのような動的な性質がこの揺らぎを決めているのか、といったことを調べることができます。

テラヘルツ電磁波による凝縮相の低振動スペクトル

  • 約100 cm-1以下の低振動運動は、分子内に局在された高振動モードと異なり、分子内の大振幅振動やライブレーション運動、分子間振動や会合性液体のネットワーク構造の構造揺らぎ、生体高分子等の高分子の集団的な運動、また回転緩和に相当します。私達は、このテラヘルツ帯を中心にメガヘルツ帯から中赤外領域の複素誘電率スペクトルを精密に測定する手法を開発し、様々な凝縮相物質の低振動運動の測定、解析を行っています。特に、タンパク質の低振動運動に興味をもっています。タンパク質の水和状態や温度により低振動運動がどのように変化するか、広帯域誘電分光法を用いて調べています。また、サブピコ秒のパルス幅を持つ、テラヘルツ波とフェムト秒の紫外、または可視光パルスを組み合わせ、光ポンプ-テラヘルツプローブ分光の実験を行っており、有機半導体の電荷キャリアダイナミクスの測定を行っています。
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