研究室の概要

本研究室で取り組んでいる研究の概要です。


活動プロジェクト 〜都市域地盤における安全環境に関する研究〜

・塩害に伴う砂漠化のシミュレーションとその対策法の検討

地球規模で問題となっている砂漠化は,その多くが,人の活動による気圏−地圏−水圏の水循環の狂いに原因がある.塩害による砂漠化はその最たるものであって,ここでは,このような砂漠化に至るシミュレーション技術を開発すると共に,砂漠化危険地帯,塩害被害地域の修復技術の開発を行う.タイ東北部の実地調査も行っている.

・地盤の変形と土構造物の品質評価・維持補修とライフサイクルコスト

飽和軟弱地盤の力学挙動を表現できる合理的な数値モデルとそれに基づく有限要素解析手法DACSARの開発を行っている.また,数多くの実施工への適用をはかりながら,土構造物の経年的な品質変化を評価できる実地盤-構造物の変形・安定シミュレーション手法を開発している.土構造物の性能設計化に必須の内容である.

ベントナイト材料の力学挙動の予測

我が国の原子力発電所から出てくる核廃棄物の処理をどうしたら良いのだろう? 現在,多重バリアでシールされた核廃棄物を安定した地下深層へ埋設投棄する方法が検討されている.多重バリアでは緩衝材として,著しい膨張性を示すベントナイト材料の利用が考えられている.環境への影響を慎重に検討しなければならず,このベントナイトの長期にわたる力学特性の変化・挙動の予測が求められている.このような要求に応えうるベントナイト材料の力学モデルの構築を目指している.

PS灰リサイクルによる多孔質セラミックの地盤工学分野への活用

環境負荷物質として問題となっている焼却灰(PS灰)を粘土と共に1200度以上の高温で焼くと多孔質セラミックとなる.この多孔質セラミックは吸水性,保水性,耐荷性に富むなど特徴的な性能を有する.このようなリサイクル材を,ヒートアイランド緩和,水質浄化,斜面安定排水など積極的に利用する道を探り,環境リスクと環境負荷の低減をはかろうとしている.

                 


・確率論・フラクタル理論を応用した不均質浸透場のモデル化に関する研究

地下水の流れ場における物質や熱の移動現象について考える上で,数値シミュレーションは不可欠のツールとなっている.
一方,シミュレーションを実行する際に必要となる地盤の物性値は空間的なばらつきが大きく,また測定・推定方法も確立されていない.
このような問題に対して,確率論・フラクタル理論を応用した不均質浸透場のモデルを用いて,不均質地盤内の流れに関する諸性質について検討する.

・地盤内の水と空気の流れに関する研究

地盤内の不飽和領域における間隙内には,水と空気が混在している.
従来,不飽和浸透問題では空気の存在はほとんど考慮されていなかったが,降雨浸透のように大気と接する境界付近の飽和度がはじめに上昇するような場合,間隙内空気の圧縮によって空気圧が上昇するなど,その影響が顕著に表れることがある.これに対して,気液2相流解析手法を開発し,数値シミュレーションによって不飽和浸透における間隙空気の影響について明らかにする.