The Ring of Intergenomicsインターゲノミクスの輪

植物細胞内の色素体、ミトコンドリア、核の三角関係

 植物細胞の中には3つの異なるゲノムが核と色素体、ミトコンドリアに存在します。それらは協調的に発現し、相互作用を及ぼしながら各オルガネラの機能から細胞機能、さらには個体統御までつながっています。人間関係も二人のうちはしっくりいっていたのに、これが三角関係になると途端に調整がひつようになってきて、コミュニケーションに一層の配慮や工夫が必要になりしばしば深刻な問題もでてきます。そのとき重要なのは中核となるもののイニシアチブと、正確な状況把握と適切なフォローであり、これは個体間だけでなく、細胞内においても同様であろうことは想像に難くありません。動物や酵母にはなく、植物細胞だけに課せられた3つのゲノムが共存する宿命を、いかにして塩梅良くなじませてきたのか、その変化(進化)は現在進行形でもあるはずで、それがいかなるからくりなのかが今の私の最大の関心事です。その妙技の核心部分を、異なるゲノムでそれぞれ働く転写系と翻訳系のマシナリー、それらに絡むタンパク質や核酸分子(特にtRNA)、化学物質(特にテトラピロール合成系の物質)に注目して解き明かしていきたいと考えています。、時には、その調和に横やりを入れて無理矢理崩してみたり、仲人のように取りなしてみたりしながら。