Intergenomics Seminarセミナーと勉強会

第33回インターゲノミクスセミナー
「哺乳類の胚発生における全能性と分化の制御機構―クロマチン修飾からゲノムの高次構造まで―」

講演タイトルと講演者

「全能性細胞で特異的に発現する遺伝子群の機能解析」
中村 肇伸 先生(長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部)
「核内ゲノム高次構造の発生制御」
平谷 伊智朗 先生(理化学研究所・多細胞システム形成研究センター)

世話人より

 第33回インターゲノミクスセミナーが,平成27年11月13日(金)15:10より農学部B101で行われました。今回のセミナーは,哺乳類の胚発生過程におけるエピジェネティクスを主題にして,研究対象やアプローチ法の異なる二人の先生を招いて,講演していただきました。お二人とも未発表データを含む最新の研究内容について紹介して頂いたので,私自身大変勉強になりました。

 中村先生は,分化した細胞である配偶子(精子と卵)は受精後に全能性を持つ細胞となるが,その受精卵ではどのようなエピジェネティックな制御機構があるかについて話されました。受精後の胚における雌雄の前核のエピジェネティック制御の違いに関与する遺伝子や,母性mRNAの分解に働く遺伝子の話しなど,盛りだくさんの内容でした。

 平谷先生は,一般的なエピジェネティック修飾とは別の切り口から,DNA複製のタイミングとゲノムの高次構造,さらに遺伝子発現の関連について,細胞の分化過程でどのようなことが起こっているかを話されました。DNA複製タイミングと染色体の高次構造との関連を全ゲノムレベルで示す実験系として確立されたことや,その系を利用して細胞分化の過程で検出されてきた現象などについて,興味深い内容でした。

 また,お二人とも懇親会の二次会まで参加していただき,研究者間の親交を深められたのは世話人として何よりの喜びでした。

講演者からのコメント

中村 先生

 この度は、インターゲノミクスセミナーにお招きいただき、ありがとうございました。専門分野がかなり異なる先生や大学院生にも来ていただいたようですが、みなさん熱心にきいていただき、たくさんの質問も頂戴し、大変うれしく思いました。また、もう一人の演者の平谷先生は、独創的なご研究をなされており、論文になる前の貴重なお話を興味深く聞かせていただきました。セミナー後に行われた懇親会でも、大学の在り方や大学院生の指導など研究分野を超えた話題で、同世代の先生方とたのしくお話しさせていただきました。終電の関係で懇親会に最後まで参加できなかったのが心残りですが、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

平谷 先生

 このたびは、インターゲノミクスのセミナーに呼んでいただき、ありがとうございました。エピジェネティクスという分野の中でも少し変わり種のMbスケールの染色体ドメイン構造の制御がテーマということで、聞き慣れない部分も多かったかとは思いますが、皆さんに最後まで熱心に聞いて頂き大変嬉しく思いました。演者が2人という構成もユニークで、私自身も聴衆としてもう一人の演者である中村先生のセミナーを楽しく聞かせて頂きました。懇親会では中村先生も含め同年代の先生方と親しくお話することができて新たな刺激を受けました。専門分野がかなり違うにも関わらず、先生方同士がとても仲が良いのもとても印象的でした。場所も近いことですし、これを機会に今後とも交流できればと思っています。よろしくお願いします。

(世話人:李 智博)