Intergenomics Seminarセミナーと勉強会

第34回インターゲノミクスセミナー
「植物の生殖システムと進化」

講演タイトルと講演者

「ユリ雄原細胞におけるトランスクリプトーム解析」
板橋 悦子 先生(神戸大学大学院 農学研究科)
「ゲノム倍数化と繁殖システム」
清水 健太郎 先生(University of Zurich)

世話人より

 第34回インターゲノミクスセミナーが平成27年12月1日15時25分から農学部B101にて行われました。今回のセミナーのテーマは「植物の生殖システムと進化」とし、チューリッヒ大学の清水健太郎先生と神戸大学農学研究科の板橋悦子先生をお招きしてご講演いただきました。

 清水先生には「ゲノム倍数化と繁殖システム」というタイトルでお話いただきました。ゲノム倍数化、特に異なる2種のゲノムを有する異質倍数体につきまして進化的な視点や適応性の観点から発表していただきました。異質倍数体は、異なる2つのゲノムを有し、転写解析を行う際に難しくなりますが、発現解析ソフトHomeoRoqを開発することで、2つのゲノムを区別して、発現解析ができるようになったことを発表されました。その他にも、GWAS解析によりシロイヌナズナの花粉量に関わる遺伝子を特定したことや、自家和合性と自家不和合性の進化的な意義についてもご紹介いただきました。

 板橋先生には、博士研究員としてメルボルン大学に在籍していた期間に行った研究につきまして「ユリ雄原細胞におけるトランスクリプトーム解析」というタイトルでお話いただきました。ユリの成熟花粉から雄原細胞のみを精製し、1細胞レベルでのRNAシークエンス解析により、雄原細胞に特徴的な発現を示す遺伝子を同定したことについて発表していただきました。また、講演の後半では、ユリの雄原細胞で特異的に発現している遺伝子について、進化的な観点から紹介していただきました。

講演者からのコメント

清水 先生

 このたびはインターゲノミクス研究会でお話しする機会をいただき大変感謝しています。質疑では面白い議論に発展し、神戸大学には繁殖システムや倍数体化に興味をもっていただける研究者が集まっていることを再認識しました。神戸大学にはフィールド調査などでたびたび来たことがありましたが、久しぶりに来てみるとまた新たな出会いがあり、3月にチューリッヒ大学でセミナーをしていただくということにも発展しました。今後ともまた交流を深めていくことを楽しみにしています。

板橋 先生

 この度は、インターゲノミクスセミナーに参加させていただきありがとございました。セミナーのお話をいただいた当初は、会の趣旨に合ったお話ができるのか、興味を持って聞いて頂けるのか懸念しておりましたが、質疑応答やセミナー後の懇親会の場では、異なる分野の先生方から新たな視点でのご質問やご意見をいただき、刺激を受けると同時に有意義な情報交換をする事ができました。また、演者として貴重な経験をさせていただいた一方で、進化生態ゲノミクスの分野で著名な清水先生の、最前線のゲノミクス解析のお話を興味深く聴講させて頂き、大変勉強になりました。これまで神戸大学の先生方とお話をする機会はあまりありませんでしたので、今回、様々な専門分野の先生方と交流させていただけた事をとても嬉しく思いました。今後ともよろしくお願い致します。

(世話人:藤本 龍)