研究内容
宿主免疫の制御に関する研究
感染症制御はこれまで病原体に対するアプローチ(ワクチン、抗生物質や抗菌剤及び飼養衛生管理の向上)が主体でしたが、近年、宿主動物側からのアプローチ(腸内細菌やルーメン細菌叢、プロバイオティクス、抗病性改良DNAマーカー、ストレスの低減等)についても様々な研究が進展しています。
我々は、宿主動物側の自然免疫応答を向上させることによる新たな感染症制御技術の開発に取り組み、薬剤耐性菌や抗生物質使用の削減に貢献しながら、持続可能な獣医・畜産業の発展を目指しています。
図1 豚の抗病性改良DNAマーカー(TLR5)の差異による サルモネラ感染時の腸間膜リンパ節におけるリンパ濾胞形成
図2 未利用バイオマスとイムノバイオ ティクス乳酸菌を活用した イムノシンバイオティクスのイメージ
プリオンの制御に関する研究
プリオン病は、一部の哺乳動物のみで起こっている伝達性の神経変性疾患です。宿主遺伝子にコードされているプリオン蛋白質の構造異常と中枢神経組織の異常蓄積が本疾患の原因です。
我々は、健常個体でのプリオン蛋白質遺伝子発現の制御機構や翻訳後修飾機構に注目しています。遺伝子の発現や翻訳後修飾を人為的にコントロールできれば、本疾患の制御や治療につながると考えられます。
また、アルツハイマー病やパーキンソン病など、他の神経変性疾患に共通する特有蛋白質の異常蓄積の解明につながる可能性もあります。
ウイルスの制御に関する研究
二本鎖RNAをゲノムとしてもつレオウイルス目のウイルス(主に流行性出血病ウイルスなどのオルビウイルス属のウイルス)の複製や宿主特異性、病原性発揮に関わる様々な事象について調べています。
また、これらのウイルスのワクチンベクター等への有効利用へ向けた研究も行っています。県内でオルビウイルスに関連した疾病が発生した場合には疫学調査も実施します。
さらに、新しいオルビウイルスが国内で見つかった場合には、該当ウイルスに特化した遺伝子改変技術を開発し、診断方法や制御方法への利用に貢献します。
左:正常なVP6供給下でのウイルス粒子、右:非供給下での中空ウイルス粒子