講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2007年 9月21日(金) 午後 2時30分~ 4時
場 所 : 神戸大学・遺伝子実験センター 5階研修室
講 師 : 橋口 一成 博士(東北大学加齢医学研究所・遺伝子機能研究分野)
演 題 : DNA損傷誘発時におけるDNA複製/修復合成複合体の細胞核内動態解析

講演要旨

遺伝情報をコードするゲノムDNAは、その正確な複製と安定性が細胞や個体の正常な生命活動維持に必須であると同時に、子孫へ正確に伝達されなければならない。DNA複製に直接関わるタンパク質として(i)DNA合成酵素であるDNAポリメラーゼ、(ii)ポリメラーゼがDNA鎖上をスライドしその機能を果たすために足場として働くPCNA、(iii)PCNAを二本鎖DNA上に載せるRFC複合体、が知られている。これら三因子はDNA複製時だけでなく、DNA損傷が生じ、それが修復タンパク質により認識、除去された後のDNA修復合成の過程でも機能する。またRFC複合体は、1つの大サブユニット(Rfc1)と4つの小サブユニットから成るヘテロ5量体であるが、DNA複製に働くRfc1の他に大サブユニットホモログとしてCtf18、Rad24及びElg1が同定されており、これらはDNA複製時に働くRfc1と入れ替わりヘテロ5量体を形成することでRFC様複合体を形成することが知られている。Rfc1、Ctf18、Rad24-RFC様複合体の機能は比較的明らかにされてきているが、Elg1複合体に関する機能解析は遅れている。
 本セミナーではこれら4種のRfc1大サブユニットホモログのDNA損傷応答の解析結果を報告する。DNA損傷誘発は当研究分野で開発されたマイクロレーザー照射法により行った。共焦点レーザー顕微鏡により、細胞核内に誘発したDNA損傷の場へのタンパク質のリクルートのキネティクスを測定した。4種のうち、有意なリクルートが観察されたRfc1及びElg1についてはそれらの欠失変異体、点変異体の解析を行った。さらに質量分析による結合タンパク質同定の結果を合わせ、Rfc1及びElg1のDNA損傷の場へのリクルートのメカニズムのモデルを紹介したい。

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