講義・セミナー

特別講義のお知らせ(理学研究科・生物学専攻)

現代の生物学I(第3回)

日 時 : 2008年 7月11日(金) 午後 1時20分〜
場 所 : 神戸大学・遺伝子実験センター 5階研修室
講 師 : 掛谷 秀昭 博士(京都大学大学院薬学研究科・教授)
演 題 : 創薬シーズ開発を指向したケミカルバイオロジー研究

講演要旨

ケミカルバイオロジー(化学生物学)とは、化学を基盤として複雑な生命現象を解明していく生物学であり、なかでも基本となるのは、ケミカルジェネティックス(化学遺伝学)である。ケミカルジェネティックスは、古典遺伝学で利用・解析してきた“変異“を生理活性小分子(バイオプローブ)に置き換えた方法論であるが、最近では、ゲノムワイドにケミカルゲノミクスに発展しつつある。ここで用いる生理活性小分子の化学構造および生物活性の多様性・新規性は、ケミカルバイオロジーにとって最も重要なファクターの1つであり、生化学ツール開発・創薬シーズ開発に直結するといえる。
 当研究室では、1) 創薬リード化合物の開拓を指向した新規生理活性物質の天然物薬学研究、2) 多因子疾患(癌、神経変性疾患、免疫疾患、糖尿病、心疾患等)に対する次世代化学療法の開発を目指したケミカルバイオロジー研究、3) ケモインフォマティクス・バイオインフォマティクスを活用したシステムケモセラピー研究、4) 有用物質生産・創製のための遺伝子工学的研究(コンビナトリアル生合成研究)、5) 生理活性小分子リガンド-受容体の迅速同定システム(プラットフォーム)の開発研究、を中心的な研究課題とし、“創薬シーズ開発”を指向した先端的ケミカルバイオロジー研究・ケミカルゲノミクス研究を展開している。これまでに、我々の成果を基盤にして、複数の生理活性小分子が生化学試薬として市販されている。
 本特別講義では、創薬シーズ開発を指向した微生物代謝産物由来の生理活性小分子の開拓研究とケミカルバイオロジー研究の現状を我々の研究成果を中心に紹介する予定である。

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