講義・セミナー

特別講義のお知らせ(理学研究科・生物学専攻)

現代の生物学I(第2回)

日 時 : 2011年 6月10日(金) 午後 1時20分〜
場 所 : 神戸大学・理学研究科C棟 C509号室
講 師 : 井倉 毅 博士(京都大学放射線生物研究センター 突然変異機構研究部門)
演 題 : ゲノム疾患研究の現状と未来

講演要旨

生体は、放射線、紫外線あるいは化学物質によって様々なストレスを受ける。生体は、それらストレスに対する優れた防御機構を兼ね備えている。遺伝情報の源であるゲノムは、こういったストレスのターゲットになり、ゲノムに生じる損傷は、時としてがんや神経疾患などの疾病につながることから、ゲノムストレスに対する防御機構の解明は疾患予防の観点からも非常に重要と考えられている。今回は、様々なストレスに対して細胞の核内での転写、複製、組換え、修復といったDNA代謝が、どのような仕組みでゲノムの不安定化を解除し、ゲノム環境を司る染色体の恒常性を維持しているのかについて、これまでのゲノム研究の歴史を顧みながら最新の知見を紹介したい。ヒトゲノムプロジェクトやプロテオーム解析といった最先端研究は、我々に分子の目で生物を解析する機会を与えてくれているが、ゲノム疾患研究においても分子レベルでの詳細な機構が明らかにされつつある。我々が得た膨大な基礎的な知見をいかに疾患研究へと発展させ、応用展開していくべきか、ゲノム疾患研究から観た現代の生物学の現状と将来展望についてもお話したい。

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