講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2012年 9月12日(火) 午後4時〜5時30分
場 所 : 神戸大学・理学部Z棟 Z201、Z202多目的室
講 師 : 三浦 正幸 博士(東京大学大学院薬学系研究科 遺伝学教室)
演 題 : プログラム細胞死の生理機能 〜古くて新しい生物現象〜

講演要旨

カスパーゼはプログラム細胞死実行に必須のプロテアーゼとして線虫で同定された。線虫では細胞死が個体の生存には必要なく、細胞死誘導による不要細胞の効率よい除去がカスパーゼの主たる働きである。一方、マウスやショウジョウバエではプログラム細胞死は個体発生に必須であり、細胞死やそのシグナル構成因子の生理機能は未だ多くが謎とされている。カスパーゼは様々なストレス刺激や発生シグナルの乱れを感知して活性化される。細胞社会において増殖性の違う細胞集団が接したときには、増殖性の悪い細胞集団で選択的にカスパーゼの活性化がおこり除去される(細胞競合)現象や、組織傷害などで過剰な細胞死が生じた場合は失われた細胞を埋め合わせるべく増殖シグナルがアポトーシス細胞から分泌される(代償性増殖)現象がある。これらの現象にカスパーゼは必須の役割を果たすことが遺伝学的な研究により明らかになってきた。さらに、これまでカスパーゼは活性化すると細胞死が誘導されると考えられてきたが、細胞が受けるストレスの程度によってそれに応じたレベルの活性化を示し、細胞死以外の生理機能を果たすことが明らかなってきた。本セミナーでは細胞社会で新たに見いだされてきたプログラム細胞死の生理機能に関して、遺伝学とバイオイメージングを組み合わせた我々の研究を紹介する。

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