講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2014年 6月20日(金) 午後 4時〜
場 所 : 神戸大学・理学研究科C棟 C509号室
講 師 : 田嶋 正二 博士(大阪大学蛋白質研究所 エピジェネティクス研究室)
演 題 : Dnmt1によるゲノムの維持メチル化

講演要旨

脊椎動物ではゲノム内のCpG配列内のシトシンの5位の炭素がしばしばメチル化修飾を受け、哺乳類ではCpGの70%がメチル化されている。DNAのメチル化修飾は、遺伝情報の発現を抑制することにより胚発生に寄与している。哺乳類にはDNAメチル化酵素をコードする遺伝子が3つあり、その内の一つDnmt1はヘミメチル状態のDNAを選択的に認識し、メチル化されているCpGと相補する位置のCpGをメチル化する活性をもつ。この活性により、複製直後に出現するヘミメチルDNAをメチル化することで、次世代の細胞にDNAメチル化模様を継承している。
 我々はDnmt1のX線結晶構造解析に成功したが、その構造を見ると、驚いたことに、N末端領域に位置する複製フォーク局在化シグナル(RFTS)が領域構造を形成して触媒ポケットに嵌まりこんでいた。RFTSがその位置に居ては、基質であるDNAが触媒中心に近づけない。Dnmt1がヘミメチルDNAをメチル化するためには、RFTSを触媒ポケットから排除しなければならない。一方、細胞内ではDNAのメチル化維持にはUhrf1が必須であることが報告されている。Uhrf1はそのSRA(SET and RING-associated)領域でヘミメチルDNAに選択的に結合し、メチルシトシンを2本鎖DNAの外に引き出している。この構造から、Uhrf1は複製領域でDnmt1にヘミメチルDNAを手渡していると予想される。セミナーではUhrf1の特にSRAとRFTS領域の相互作用と、維持メチル化に果たす役割について、我々の最近の知見を紹介する予定である。

ページの先頭へ