講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2014年12月 1日(月) 午後 5時〜
場 所 : 神戸大学・遺伝子実験センター 5階研修室
講 師 : 谷口 俊恭 博士(Fred Hutchinson Cancer Research Center / Howard Hughes Medical Institute)
演 題 : Fanconi anemia-BRCA pathway and cancer

講演要旨

ゲノム安定化機構はがんや老化の病態においてきわめて重要な役割を果たす。「Fanconi anemia-BRCA pathway」はDNA修復の制御を介してゲノム安定化に寄与し、がん生物学におけるその重要性が近年注目されている。Fanconi anemia(FA:ファンコニ貧血)は染色体不安定性、発がん、DNA interstrand crosslink(ICL)に対する高感受性を特徴とする遺伝疾患である。FA原因タンパク質と乳がん・卵巣がん感受性遺伝子BRCA1, BRCA2の産物タンパク質は「FA-BRCA pathway」を形成し、ICLの修復に関与するDNA修復機構を制御する。このpathwayが欠損した腫瘍細胞はcisplatinなどICLを生ずる抗がん剤に高感受性になる。一方、このpathwayの再活性化は抗がん剤耐性獲得の原因になる。したがってFA-BRCA pathwayの阻害はこの抗がん剤耐性を克服する魅力的な治療戦略である。
 本講演ではFA-BRCA pathwayの概要とヒト腫瘍におけるその失活機構及び再活性化機構を紹介する。更にFA-BRCA pathwayの制御に中心的な役割を果たすタンパク質複合体((FA core complex)に関する最新の知見についてもお話しする予定である。
 また、近年我々はmicroRNAのprocessingに関与するRNA結合タンパク質として知られるDGCR8が細胞の紫外線抵抗性に重要な役割を果たすことを見いだし、「DGCR8-mediated UV response pathway」という概念を提唱している。このトピックにも言及したい。

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