講義・セミナー
学術講演会のお知らせ
以下のセミナーを開催いたします。
日 時 : | 2017年 5月25日(木) 午後 4時30分〜 |
場 所 : | 神戸大学・バイオシグナル総合研究センター 5階研修室 |
講 師 : | 佐々 彰 博士(千葉大学大学院理学研究院) |
演 題 : | 複雑化したDNA損傷に立ち向かうゲノム恒常性維持機構 |
講演要旨
ゲノムDNAには、環境中の化学物質や代謝過程で生じる活性酸素などの外的・内的要因によって絶え間なく損傷が生じています。DNAに形成する損傷は時に複雑な形態を取り、ゲノムの不安定化を引き起こします。その様な損傷に立ち向かうために、細胞は様々なDNA修復機構を幾重にもオーバーラップさせて、ゲノムの恒常性を維持していると考えられます。私達は、複雑化したDNA損傷に対するゲノム恒常性維持機構を明らかにするために、DNA修復酵素によるDNA修復反応の酵素反応速度論的解析と、ヒト細胞内におけるDNA損傷の突然変異誘発能の測定を行ってきました。その結果、本来の役割を越えた多様なDNA修復機構の働きが明らかになってきました。
本セミナーではその中でも、(1)ゲノムの狭い範囲に複数の損傷が生じる「クラスターDNA損傷」の修復及び突然変異抑制機構、(2)損傷RNA前駆体のDNAへの取り込みが引き起こすゲノム不安定性及びその損傷トレランス(耐性)機構、に関する、最近の研究成果を紹介します。