講義・セミナー
学術講演会のお知らせ
以下のセミナーを開催いたします。
日 時 : | 2022年07月01日(金) 午後 3時30分〜 |
場 所 : | 神戸大学・理学研究科Z棟 Z103教室 |
講 師 : | 伊藤 伸介 博士(理化学研究所・生命医科学研究センター) |
演 題 : | ポリコーム複合体によるエピゲノム制御 |
講演要旨
遺伝子発現抑制に重要な役割を果たすポリコーム群(PcG)は、エピゲノム制御の一翼を担うタンパク質複合体であり、主に2つの複合体(PRC1 とPRC2)によって構成される。PRC1 はヒストンH2A の119 番目リジン(K119) のモノユビキチン化(H2A119ub)を行い、PRC2 はヒストンH3 の27 番目のリジン(K27)のトリメチル化(H3K27me3)を行う。これらのヒストン修飾は、細胞内において発生分化制御遺伝子のプロモーターに集積してクロマチン抑制ドメインの形成に寄与している。
PRC1 のサブ複合体の一つであるPRC1.1 は、Fbox タンパク質KDM2B、SCF ユビキチンリガーゼの構成因子SKP1、RINGフィンガータンパク質RING1-PCGF1をもつE3リガーゼを形成する。これまでにPRC1.1 にSKP1 が存在する意義、およびPRC1.1 のE3 リガーゼの標的分子は不明である。
我々は、PRC1.1 がH2AK119ub を導入して転写抑制に機能するのみならず、非ヒストンタンパク質のユビキチン化を介したCpG アイランドのエピゲノム制御、及び転写活性化に寄与することを見出した。本セミナーでは、PRC1.1 が媒介するユビキチン化によるエピゲノムと遺伝子発現制御に関する最新の研究を紹介したい。