講義・セミナー
特別講義のお知らせ(理学研究科)
特別講義「現代の生物学」
日 時 : | 2022年07月01日(金) 午後 1時20分〜 |
場 所 : | 神戸大学・理学研究科Z棟 Z103教室 |
講 師 : | 伊藤 伸介 博士(理化学研究所・生命医科学研究センター) |
演 題 : | 遺伝子発現とエピゲノム制御 |
授業のテーマ
ゲノムの塩基配列には規定されない、いわゆるエピジェネティクな修飾は、個体発生 ・分化の過程において時間的・空間的に厳格な遺伝子発現制御を行う上で重要な役割を果たしている。このエピジェネティクな修飾にはDNA のメチル化やヒストンの多彩の化学修飾(ユビキチン化、メチル化等)がある。哺乳動物のゲノムDNA では約80%のCpG がメチル化修飾を受けている一方で、CpG アイランド (CpG island: CGI)と呼ばれる例外的なゲノム領域が存在し、一般的にDNA メチル化を受けていない。1) CGI は注釈のついた遺伝子の約70%の転写開始点前後に存在してプロモーターとしての機能すること、2) CGI のエピゲノム制御異常はがん・疾患発症と連関するため、CGI は遺伝子発現を制御する上で非常に重要な制御領域である。DNA 配列をみてみると単にGC に富んだ領域ではあるが、転写因子やエピジェネティック修飾因子はCGI に結合し、巧妙に遺伝子発現制御を行っている。
本講義では、エピジェネティクスについて、その分子基盤と高次の機能について概説する。