講義・セミナー

学術講演会のお知らせ

以下のセミナーを開催いたします。

日 時 : 2024年09月25日(水) 午後 3時30分〜
場 所 : 神戸大学・理学研究科Z棟 Z201/Z202多目的室
講 師 : 滝沢 由政 博士(東京大学・定量生命科学研究所)
演 題 : クライオ電子顕微鏡で見る多様なクロマチン構造

講演要旨

真核生物のゲノムDNAは、「クロマチン」とよばれる高度に折りたたまれた構造を形成することにより、細胞核内にコンパクトに収納されている。クロマチンは、4種類のヒストンタンパク質H2A、H2B、H3、H4が、それぞれ2分子ずつ含まれるコアヒストン8量体に、約150塩基対のDNAが巻きついたヌクレオソームと呼ばれる構造体を基本単位としている。このヌクレオソームが、短いリンカーDNAで数珠状に繋がれ、更に高度に折りたたまれることにより高次クロマチン構造を形成している。クロマチンの高次構造は、ゲノムDNAを細胞核内にコンパクトに収納するためだけではなく、転写、複製、組換え、修復など様々な核内現象を制御していることが分かってきている。クロマチンの立体構造解析は、過去20年に渡り、ヌクレオソーム単体の構造を中心にX線結晶構造解析を用いて多数決定されてきた。しかし、ヌクレオソームと結合因子の複合体や高次クロマチンについては、結晶化が困難なことから、多くの構造は未知のままだった。近年、クライオ電子顕微鏡構造解析の技術革新により、分解能が飛躍的に向上し、結晶化が難しかった多様なタンパク質複合体の立体構造が解かれるようになった。我々は、クライオ電子顕微鏡構造解析により、試験管内再構成により作製されたヌクレオソームやクロマチン結合因子との複合体など多様な立体構造解析を行ってきた。また、最近ではクライオ電子線トモグラフィーを用いた、ネイティブなクロマチンの構造解析も行っている。これらのクライオ電子顕微鏡構造解析により得られた多様なクロマチンの基盤構造、複合体構造、高次構造より、細胞核内でのクロマチン構造の役割が少しずつ明らかになってきている。本セミナーでは、クライオ電子顕微鏡解析を用いることで見えてきた多様なクロマチン構造について紹介する。

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