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テラヘルツ物性物理学研究部門

太田研究室

当研究室では、様々なテラヘルツ光源と、強磁場を用いたテラヘルツ強磁場電子スピン共鳴(ESR)測定装置を中心に、量子効果が顕著な量子スピン系やフラストレーション系などエキゾチックな磁性体の電子状態やスピンダイナミクスに関する基礎的な研究を行っています。特に、パルス強磁場を用いたテラヘルツ強磁場ESRは、短い時間で周波数-磁場の2次元マッピングすることが可能で、磁気異方性の情報をえることができます。また、粉末試料の測定も可能で、磁性体の興味深い特徴をいち早く得ることを目指しています。実験に必要な液体ヘリウムと液体窒素は、学内の研究基盤センターから供給されます。

主な研究テーマとしては、以下の通りです。

テラヘルツ強磁場ESRによる電子状態の観測

  • 様々な光源(0.05-1.4THz)とパルス強磁場(最大磁場55T)を用いて透過法によるテラヘルツ強磁場ESR測定を、1.8-265Kの温度範囲で行っています。感度は1015spins/G程度なので、試料体積が大きく、3d、4f磁性イオンからなる磁性体(絶縁体)の測定に向いています。テラヘルツ強磁場ESR測定は、市販のX-band ESR測定に比べて、a)高いスペクトル分解能、b)線幅が広いESRの観測、c)ゼロ磁場分裂(反強磁性ギャップを含む)を超えたESRの観測、d)磁性体の強磁場相の観測などの特徴を持ちます。本装置は、半導体等の磁気光学測定にも転用可能です。

多重極限テラヘルツESRによる電子状態の観測

  • a)ハイブリッド圧力セルを用いて2.5GPaまでの高圧下でテラヘルツ領域(0.08-0.8THz)のESR測定が可能。温度領域は1.8-4.2Kと常温で、磁場は無冷媒超伝導磁石が発生する10Tまでに限られる。
    b)マイクロカンチレバーESRによるマイクロメーターオーダー試料のテラヘルツESR測定。磁場は超伝導磁石の15Tまでで、温度は4.2K。開発途上のため共同利用は限定的。

SQUID磁束計を用いた磁性および圧力下磁性の観測

  • SQUID磁束計(1.8-300K, 5T以下)で、基本的な磁性測定(磁化率の温度依存性、磁化測定)が可能です。さらに、同じ試料について周波数は0.07-0.14THzと限られますが、SQUID ESR測定を行うことができます。この感度は1013spins/Gほどです。また、両者の測定を1GPa以下の高圧下で行うことが可能です。高圧下測定のESR 感度は減少します。市販のX-band ESRをはじめ一般的なESR測定は、相対強度しか議論できませんが、我々が開発したSQUID磁束計を用いたESR測定は、磁化相当の絶対強度を見積もれる点に特徴があります。
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