らん藻は体のつくり(細胞構造)は細菌類と同じで,シアノバクテリアとも呼ばれますが,その基本的な光合成のしくみは陸上の植物と同じです.これららん藻の一部のものは30数億年の間それほど形を変えずに生き残ってきており,現在でも光が届く限り地球上のほとんどのところに生育しています.このようならん藻が地球上の至る所で繁殖したために,海中に大量 の酸素が放出され,やがて海中や大気中の酸素の濃度も高くなっていきました.そうすると今度は酸素を積極的に使って有機物を分解することで効率よくエネルギーを得る能力(呼吸と呼ばれる)を持った生物(好気性生物)が現れてきました.これらの好気性生物から,それまでの細菌類よりはずっと大きく,複雑な構造を持った生物が誕生したと考えられます.このような生物の細胞は遺伝子であるDNAが「核」と呼ばれる特別 な構造の中にあるため核のある生物という意味で「真核生物」とよばれています. | |||
らん藻ユレモ Oscillatoria の一種の顕微鏡写真:らん藻(シアノバクテリア)は「原核生物」に属し,その細胞の構造は細菌類と同じである.しかし種類によっては多細胞で,時には枝分かれする糸状の体を作る.このらん藻の仲間がすべての植物の葉緑体の起源であるとされている. | ||
西オーストラリア・シャーク湾のストロマトライト:この湾では岩の上に主にらん藻類が繁茂することで水中の砂粒などが堆積して,あたかもキノコが生長するように層状の岩が新たに作られている.この様子は真核の藻類が誕生する以前の,原始の海の姿を伝えているとされている. | ||