神戸大学 ライフサイエンスラボラトリー

施設長からのあいさつ

 神戸大学六甲台地区における新たな統合動物実験・教育施設である神戸大学ライフサイエンスラボラトリー(KULL)の竣工に向けてひと言ご挨拶申し上げます。

 神戸大学六甲台地区では、生命科学や医学に関連する研究が盛んに行われておりますが、これまで動物飼育・実験は個々の研究室や一部共同実験室等に分散しており、その環境や設備は充分とは云い難い状況でした。

 とくに、1)社会的、科学的要請に伴う動物実験関連法規の規制強化、2)法令改正による学内規則の改正、3)動物飼育施設の老朽化・狭隘化、があり、施設の整備と充実は、本学における喫緊の課題でありました。

 これらの課題解決のためには、単に現在の動物実験施設・実験室を整備・拡充するだけでは不十分であり、医科学・生命科学の趨勢に対処するために中央化された共同利用施設で、倫理・公衆衛生・先進性の観点からなされる第三者(外部評価者等)評価に耐えうる施設が長年求められておりました。

 今般、念願であった統合動物実験施設が六甲台地区に完成したことは誠に慶ばしいかぎりです。

 新施設は
1.実験動物の飼育環境の整備
2.動物実験における教育・研究の更なる推進
3.動物実験における法令遵守と安全管理の強化

を目標に掲げており、自然科学系先端融合研究環、理学研究科、工学研究科、農学研究科、システム情報学研究科、海事科学研究科等の共同運営・共同利用施設としてスタートする一方、広く学内にも開放することになっております。

 「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正(平成25年9月施行)など、動物実験を取り巻く社会環境の変化を受け、新施設では、学生が科学的にかつ動物福祉の観点からみて適正な動物実験を実施するための知識と技術を身につけることも目的としており、在学中における実験動物技術者資格1、2級の取得をサポートするものでもあります。

 また、近年の社会情勢の推移に伴い、運営の経済性、バイオハザード対策等の配慮から、最新鋭の光触媒脱臭装置、全室LED照明、循環水型全自動ケージ洗浄システム、個別換気マイクロバリアケージシステムが導入され、高密度・高清浄度を保つバリアシステムで運用されています。しかしながら、本施設の本当の成果が問われるのは、今後各分野の研究者がどれだけこれを適正に活用して成果を挙げるかにかかっていると言っても過言ではありません。皆様の御援助御協力をもって、これらが成就されることを切に願う次第です。

2013年4月
施設長 星 信彦

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