←根
種子→

 たとえば上であげた紅藻と褐藻というのは,それぞれの先祖をたどっていくと,全く別 の原生動物に行き着き(もちろんこれらの原生動物はさらに遡っていくと共通 の祖先に行き着くでしょうが…),しかも褐藻の葉緑体のもとになったのは原始的な紅藻の仲間だったと考えられています.この辺の詳しい話は次の章以降を読んでいただくとして,とりあえず用語のまとめをしておくと,「海藻」というのはこれらの「細胞内共生によって葉緑体を獲得した生物のうち,海で進化して,ある程度大型の体を作り,付着生活をおくるようになった生物で,具体的には紅藻類,緑藻類(またはアオサ藻類),褐藻類など」ということになるでしょうか.これに対して,進化上の類縁関係(系統)ではこれらの藻類の仲間と近縁でも,主に単細胞の小さなものは「微細藻類」とよぶことが多く,そのうち,自分自身で遊泳したり,水に漂ったりしているものを「植物プランクトン」,岩などの上に付着したり,岩の上を滑ったりしているものは「付着(微細)藻類」とよび分けています.

 また,コケ,シダ,裸子・被子植物などのいわゆる陸上植物は,広い意味での緑藻類の仲間が陸上へ進出して,進化したものですが,その一部のものはまた海に戻って進化しました.これがアマモやスガモ等の「海草(海藻と区別 するためウミクサと読むこともあります)」とよばれている被子植物の一群で,いずれも海の中で海底に根を張り,根から養分を吸収し,花をつけ,種子を作る点で,「海藻類」とは大きく異なります.このような性質から,海草類と海藻類は生えているところが異なり,海藻類が岩場に多いのに対して,海草類は砂や泥の底質のところに好んで生えます.

海産被子植物 アマモ類(海草類)

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