下の図は葉緑体の起源に注目して,さまざまな植物または藻類の進化の過程をこれまでにわかっている範囲で示したものです.この図からいくつかのことが読みとれますが,一つは先にも述べたように葉緑体には,らん藻が共生することでできたものと,すでに葉緑体と核を持った藻類が共生することでできたものがあるということです.これらのうち前者には緑色の藻類の仲間を含む緑色植物,灰色藻類,紅藻類が含まれます.シダ類,コケ類,裸子植物,被子植物といった緑色の葉をつける陸上植物はすべて緑色植物の中のある藻類のグループから進化したもので,また緑色植物と紅藻類,灰色藻類の葉緑体は見た目はずいぶん違うが,もともとは同じものであったらしいと考えられています.一方,一般 に海藻類(大型の藻類)とよばれている緑藻類,紅藻類,褐藻類のうち褐藻類はもともとは緑藻類や紅藻類になったのとは全く別 の原生動物と紅藻類が共生共生して誕生した新しい藻類の仲間が先祖であって,同じ葉緑体の起源を持つものとして代表的な植物プランクトンの一種である珪藻類などがあることがわかります. これまで見てきたように,海藻類の先祖であるいろんな藻類が光合成をしながら,細胞内共生を繰り返しながら進化してきたことが,今の地球上の大気を生み出し,また多様な藻類や陸上の植物を生み出してきたのです. |
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