フトモズク

ナガマツモ目 ナガマツモ科

Tinocladia crassa (Suringar) Kylin

 フトモズクは春から初夏にかけて潮間帯下部から上部の岩上に生育し,神戸周辺では淡路島の沿岸などで観察される.藻体は不規則に2-3回枝分かれした円柱状で,主軸は比較的はっきりしており,枝の先ではやや細くなる.高さ20cm程度になり,黄褐色からやや緑がかった褐色で,粘質にとみ,柔らかい.藻体の断面 では中央部に藻体の軸に沿って無色の細胞の束が走っており,その周りはやや緩く,外側には色素を含んだ小さな細胞からなる皮層(長さ20細胞程度の同化糸の層)がある.成熟すると同化糸の付け根の部分に単子嚢が形成される.淡路島の中部以南では本種と似た外観を示すオキナワモズク属の一種(Cladosiphon sp.)も採集されるが,この種では藻体中央部の細胞糸の束が見られず,また同化糸が遙かに長く40細胞をこえる.

生標本

 

さく葉標本

さく葉標本にするとき布に付着してはがせなくなるので,布をかけないで風乾するか,布の代わりにラップ(または切ったポリ袋)などを使うと良い.

横断面

表層付近断面

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