大規模感染リスク低減と低炭素化を両立するウイルス等除去型高機能空調システムを開発しました

 コロナ渦が世界的な脅威となり、経済活動へも致命的なダメージを与えるなか、建築物における感染症拡大対策は、検温による発熱者の除外と換気による不確かな空気清浄に依る事例が多く、換気による空調負荷の増大が低炭素化に悪影響を及ぼすことが懸念される。市販の空気清浄機を設置している事例は多々あるが、従来の空気清浄機は機器近傍での効果は期待できるが、空間全域の感染リスクを低減しているとは言い難い。

 本システムは、空間内の空気循環による省エネシステムとして開発された自立型ダクトに、紫外線照射によるウイルス不活化や殺菌、湿度調整による感染リスク低減および気液分離による大きな菌類や不純物の除去機能を付加したユニットにより構成される。空間内の人数や空気状態等のセンシングによりオゾン濃度と湿度を調整することで、人体へ悪影響を及ぼすことなくウイルス等除去効果を高めると共に、換気量適正化や空間内に生じる空気の上下温度差利用等により空調消費エネルギーを低減させる本システムは、既存空調システムとの連携などによる更なる低炭素化を可能とする脱炭素社会志向の高機能空調システムである。本システムは学内の部門を横断する体制により開発を進めており、神戸大テクノロジーの集結によるコロナテック・イノベーションとなる。

 空間全体でのウイルス感染リスク低減と低炭素化との両立は革新的技術と言える。本システムにより密が発生しても感染リスクが低い建物空間が実現することからウイルスや菌類は脅威ではなくなり、世界をコロナ禍前の状態に戻すことが可能な開発と考えられ、国民生活を大きく改善できる可能性が期待される。

 本システムは、本学産官学連携本部SSC・医学研究科、UV光源応用実証研究会による共同開発成果です。

2020年11月30日