事業概要
研究拠点形成事業とは
地域における諸課題解決に資する研究課題について、我が国と世界各国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準または地域における中核的な研究交流拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的とした事業です。B. アジア・アフリカ学術基盤形成型は、アジア・アフリカ地域に特有、又は同地域で特に重要と認められる研究課題であり、かつ、我が国が重点的に研究することが有意義と認められるものが対象です。
テラヘルツ分子科学アジア研究拠点
各国の拠点
日本 | 神戸大学 | ベトナム | Vietnam Academy of Science and Technology | インド | Indian Institute of Technology, Kanpur | インドネシア | Universitas Setia Budi | タイ | Kasetsart University | フィリピン | University of Philippines, Los Banos | 台湾 | National Taiwan University |
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協力機関
福井大学、分子科学研究所、静岡大学、徳島大学、千葉大学、中国科学院・新彊化学物理研究所(中国)、Kangwon National University(韓国)、Universitas PGRI Semarang(インドネシア)、De La Salle University(フィリピン)、University of Philippines, Diliman(フィリピン)、Academia Sinica(台湾)
採択課題概要
テラヘルツ波を用いた分子、物質の相互作用に関する研究を行う「テラヘルツ分子科学」の発展の中核を担ってきた神戸大分子フォトサイエンス研究センターが、我が国の拠点機関となり、基礎研究を精力的に行ってきた台湾・インドと、産業発展が急速に進み当該分野における応用研究のニーズと発展性が高いアジア諸国(フィリピン、中国、韓国、タイ、ベトナム)が一同に介した研究拠点をアジアに構築すること目的としています。テラヘルツ波を用いた科学技術は、大きな産業構造の変革と、急速な経済発展が進むアジア地域では特に、科学技術社会の形成と産業応用が期待されています。本課題において、「テラヘルツ分子科学」の基礎研究と産業応用を融合させ、アジア地域が当該分野をリードする研究を創出することを目指します。
共同研究概要
項目1. 分子性結晶の低振動スペクトルの観測と理論計算
分子性結晶や結晶性高分子の低振動スペクトルの低温における測定と密度汎関数法による計算を行う。測定系を脂質二重膜やタンパク質等、大きな分子系に拡張する。農業、環境、バイオ等に重要な分子や物質のテラヘルツ分光測定、量子化学計算を行う。
項目2. 液体・溶液の低振動ダイナミクス
水や水溶液の液体ダイナミクスの測定と低振動モードの理論計算を行い、液体分子間の相互作用と動的挙動、テラヘルツスペクトルの関連を明らかにする。深共晶溶媒等、グリーンケミストリーとしての溶媒として注目されている新しい溶媒について実験、計算両面からテラヘルツ帯のダイナミクスを明らかにする。
項目3. 広帯域振動分光による高分子の構造と動的挙動
高分子の構造と物性に関して中赤外領域におけるケモメトリックス法や二次元相関分光法を用いた研究がおこなわれているが、これをテラヘルツ帯に拡張し、高分子の劣化診断の基礎技術として確立する。水溶性の高分子のテラヘルツスペクトルの測定と理論計算から、高分子周辺の水分子のダイナミクスを明らかにする。
項目4. テラヘルツ時間領域分光装置の開発と計測
励起波長1.55-μmに対応した高性能テラヘルツ時間領域分光装置を開発する。これは、安価、高速、高感度な高性能システムである。以上のテラヘルツスペクトル計測装置を用いて高速、高感度な分子測定の実証を行う。