Faculty
高等学術研究院教員紹介
教員詳細
- 前重 伯壮MAESHIGE Noriaki
- 保健学研究科 准教授

研究内容

リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士)として、私は骨格筋を活用して生体免疫を是正・補完する手段の開発に取り組んでいます。骨格筋は、私達の身体を動かす「運動器」として働くのみならず、全身に様々な生理作用をもたらす「分泌臓器」であることが知られています。
一方で、その疾病の予防・管理への応用方法は明らかにされていません。近年、各種細胞からの分泌される膜小胞、特に「エクソソーム」の作用が注目され、抗炎症を目的とした治療応用が進められています。私達は培養筋管が分泌する筋由来エクソソームがマクロファージの過剰炎症反応を抑制することや、前立腺がん細胞の増殖を抑制することを米国での留学研究で発見しました。
骨格筋は、運動や物理療法によって、治療者または対象者自身が意識的に活動を制御できるため、分泌臓器として活用しやすい大きなメリットがあります。現在、作用の機序解析と有効な骨格筋刺激方法を探索しています。
今後の抱負

リハビリテーション介入手段の一つである物理療法、特に超音波療法の開発に注力しています。超音波療法は、照射組織でキャビテーション(空洞現象)を生じることによって、様々な細胞反応を惹起します。私は、難治性潰瘍の褥瘡に対して中等度強度(0.5W/cm2)の超音波を照射して治癒が促進することを報告し、国内外の褥瘡ガイドラインの治療推奨に貢献しました。
また、国内の物理療法機器メーカーが開発した音響出力の均一性が高いプローブを活用することで、細胞傷害性を生じない高強度超音波照射(1~3W/cm2)を可能にし、様々な効果を報告してきました。
その一つとして、筋エクソソームの放出促進を検出しました。現在はヒト骨格筋への照射を目的として、広範囲照射が可能な超音波照射機の開発に取り組んでいます。人の生活や健康に幅広く貢献する骨格筋を基軸として、汎用性が高く効果の大きいリハビリテーション技術を神戸大学で開発し、世界に発信する所存です。
研究略歴
- 2022年8月
- 神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域 准教授
- 2022年8月
- 神戸大学高等学術研究院 卓越准教授
- 2018年1月
- ハーバード大学公衆衛生大学院 客員研究員
- 2013年11月
- 神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域 助教
- 2011年4月
- 神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域 研究員