Faculty
高等学術研究院教員紹介

教員詳細

福本 毅FUKUMOTO Takeshi
医学研究科 准教授
福本 毅

研究内容

悪性黒色腫は、色素細胞ががん化したもので、現在第一選択薬である免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬の上市後も、依然として死亡者が多い皮膚がんです。本学皮膚科学分野は伝統的に、この悪性黒色腫についての研究を行ってきており、私は特にシグナル伝達や細胞老化に着目し、悪性黒色腫のがん化進展や免疫寛容の機序の解明研究を行っております。 さらに、もう一つの伝統である色素性乾皮症は、DNA損傷が修復できないために発がんも含めた光老化が著明に亢進する疾患です。色素性乾皮症の症状が最も鋭敏に発現する標的臓器は皮膚であり、その中でも臨床症状として特徴的な色素病変を作る色素細胞を解析することで初めて解明できる病態があると考えております。本学の部局横断的な協力体制のもと、本学が特許を取得している技術を用いて色素性乾皮症患者由来のiPS細胞から色素細胞を作成し、詳細な病態を探索しています。 Physician-scientistとして本学の学理と実際の調和の理念のもと、難治性疾患の病態の解明と、病態に直結した治療戦略の創造を目指した研究を心がけております。

今後の抱負

露光部に発症する悪性黒色腫や色素性乾皮症患者に出現する悪性黒色腫では、紫外線によるDNA損傷の関与が考えられていますが、悪性黒色腫の発生における紫外線の作用機序には未だ不明なことが多く残されています。 色素細胞は色素を産生し紫外線防御に重要な役割を担う細胞ですが、紫外線によって老化(光老化)すると、正しく防御に機能しないだけでなく、炎症を惹起させるサイトカインなどを分泌し発がんを促進させている可能性があります。2人に1人はがんになる超高齢化社会でありながら、老化に起因する発がんの機序は未だ明確ではありません。老化と発がんを結びつける機序を明らかにできれば、加齢自体を遅らせることは不可能だとしても、老化に続発する発がんを予防することで、well-being な健康寿命の延伸を達成できると信じています。そこで、光老化の最大の要因である紫外線の皮膚発がんに与える影響を、色素細胞に焦点を当てて研究を行います。将来的には有効な紫外線発がんの予防戦略の創造に繋げたいと考えています。 本学の伝統と特色を伸ばせるように、部局の垣根に捉われずお互いの強みを繋ぐ基礎と臨床の協力体制のもと、ヒト検体を用いたヒト医学研究で国際的成果を達成できるように精進する所存です。

研究略歴

2023年4月
神戸大学医学研究科 准教授
2023年4月
神戸大学高等学術研究院 卓越准教授
2023年3月
神戸大学医学研究科 助教
2019年11月
神戸大学医学部附属病院 助教
2016年11月
The Wistar Institute Post Doctoral Fellow
2016年4月
神戸大学医学研究科 助教
2016年3月
神戸大学大学院医学研究科医科学専攻 博士課程 修了

受賞・著書・論文・研究費等