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高等学術研究院教員紹介

教員詳細

山口 裕子YAMAGUCHI Yuko
保健学研究科 准教授
山口 裕子

研究内容

生活習慣の変容や高齢化の進展に伴い高齢者の糖尿病有病率は増加の一途を辿っています。高齢者糖尿病では骨格筋低下との相互関連が高頻度で認められており、加齢に伴う骨格筋量の低下がインスリン抵抗性を惹起させるとともに、インスリン作用低下が骨格筋低下を加速させることが報告されています。しかし、骨格筋低下による影響まで見据えた高齢者糖尿病予防策について確立された知見はありませんでした。
そこで、私達は高齢糖尿病患者の骨格筋低下と生活習慣の関連に着目しました。現在は、縦断的ビッグデータを用いた高齢糖尿病患者の骨格筋低下に関連する栄養素の探索や、ライフログデータの質的分析による骨格筋低下を引き起こす生活習慣の解明に取り組んでいます。目の前の高齢糖尿病患者ができるだけ自立して生活できるよう、これまでの研究を基盤に高齢糖尿病患者の骨格筋低下リスクを緩和する方法を模索しています。

今後の抱負

これまで取り組んできた研究成果は、特に高齢化が急速に進行しているアジアの国々にとって大きな可能性を秘めています。アジア人は遺伝的にインスリン分泌能が低くインスリン抵抗性が高い特徴を持つため、高齢者糖尿病への骨格筋低下を考慮した健康管理が非常に重要です。生活習慣にアプローチした本研究の知見を生かし、アジアの高齢糖尿病患者の健康に貢献する予防医療モデルを構築したいと考えています。
近年高齢者の健康改善や生活習慣病予防に関する国際共同研究への需要は増加傾向にあるものの、その機会は特に若手研究者にとっては未だ少ないのが現状です。これまでの研究活動で培ってきた人的ネットワークを活用し、海外研究者との交流を促進することで、新たな発想や研究手法に触れながら自身の研究力を向上させるとともに、若手研究者や大学院生が今後国際共同研究に挑戦する機会を拡げていきたいと考えています。

研究略歴

2023年4月
神戸大学大学院保健学研究科 准教授(看護学領域)
2023年4月
神戸大学高等学術研究院 卓越准教授
2020年2月
ジョンズホプキンス大学医学部 客員研究員
2016年4月
神戸大学大学院保健学研究科 助教(看護学領域)

受賞・著書・論文・研究費等