藻場とその種類

 

 大型海藻類,特に大型の褐藻類や海産被子植物(海草)が大きな群落をつくって生育している場所を一般 に藻場(もば)とよんでいます.藻場にはそこに主に生育する種類によって名前がつけられており,日本の周辺においてはアラメ・カジメ場,コンブ場,ガラモ場(ホンダワラ類藻場),アマモ場などが代表的なものです.藻場は単にそれらの大型海藻類が繁茂するだけでなく,さまざまな中型,小型の海藻類,底生動物,魚類などがお互いに影響しあって生活しており,一般 に藻場生態系とよばれています.この藻場生態系は海洋において一次生産性と生物多様性が最も高い場所の一つです.

 このうち,アラメ・カジメ場とコンブ場はいずれも褐藻コンブ目の種によって構成され,アラメ・カジメ場(構成種はアラメ,クロメ,カジメ,ツルアラメなど)は本州から九州にかけての暖温帯域に,またコンブ場(構成種はマコンブ,ミツイシコンブ,ナガコンブ,リシリコンブ,スジメ,チガイソなど) は東北北部以北の冷温帯域に発達します.またガラモ場は褐藻ホンダワラ目の種(構成種はアカモク,ノコギリモク,ヒジキタマハハキモク,ネジモクなど)により構成され,日本海沿岸や本州から九州にかけての暖温帯域に多く見られます.

 一方,アマモ場を構成するのは被子植物のヒルムシロ科(Potamogetonaceae)とトチカガミ科(Hydrocharitaceae)の約60種で,日本の沿岸ではアマモ,スガモなどの10種未満の種が報告されています.

 舞子(低潮線下2-3m)

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